第二章
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「最近そうした奴多いかもな」
「若いのにのう」
「昔は違ったか」
「わし程ではないがちょっと立場やお金があったらな」
そうであるならというのだ。
「お妾さんはな」
「いたんだな」
「そうだったぞ」
「昔はそうか」
「そうじゃ、大人しい時代になったな」
「爺さんは今も現役だけれどな」
「昭和の頃はまだおったがな」
「今令和だからな」
その時代になったというのだ。
「爺さんみたいな人はな」
「少ないか」
「天然記念物だろ」
こう言うのだった。
「もうな」
「というとオオサンショウウオか」
「いや、トキだろ」
「そこまでか」
「ああ、しかし爺さんは筋は通ってるな」
「相手の人は選ぶからのう」
「そこはいいな、浮気は駄目だけれどな」
斎藤は仲村にそれでもと言った。
「筋は通ってるのはいいな」
「そうじゃな、では百歳まで生きてな」
「女遊び続けるんだな」
「子供も作るぞ」
「応援も尊敬もしないけれど見守っていいか?」
「構わんぞ、わしがやることは変わらんからな」
「それじゃあな」
斎藤は頷いた、そしてだった。
それから仲村と居酒屋で会う度に話をして二人は歳の離れた友人同士になった、彼も結婚して家庭を持っていったが。
仲村が百歳になった時にだ。
二十歳のお妾さんの一人との間に子供をもうけたと聞いてだ、彼の屋敷に一人で行ってそうしてお祝いの言葉を告げた。
「よくやったな」
「うむ、やったぞ」
「本当に百歳で子供作ったな」
「うむ、これで子供は七十人になった」
「家斉公超えたな、ただ女好きなのは奥さんも子供も嫌いだからな」
「あんた一人で来たか」
「ああ、それでも言うな」
百歳で子供をもうけた友人に告げた。
「おめでとうってな」
「その言葉感謝するぞ」
「それでまた子供作るのかよ」
「目指すぞ」
仲村は豪語した、そして何と百二十歳まで生きて百五歳まで子供を作った。そんな彼を斎藤は一生忘れなかったが浮気はしなかった。
浮気王は違う 完
2024・2・21
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