第一章
[2]次話
女社長は宮大工の世界でも
取引先の新社長の名前を聞いてだ、八条建設福井支社の営業部長田所次郎長方形の顔で黒髪を短くしていて小さな細い目と薄い唇を持つ彼は言った、背は一七〇位でやや色黒で痩せている。
「女の人かな」
「はい、先日先代社長のご父君の跡を継ぎまして」
若いOLの工藤彩奈が応えた、小柄でふっくらとした感じの可愛らしい顔立ちの二十代前半の女性で丸めの顔と黒いセミロングの長さのセットした髪の毛が印象的だ。
「それで、です」
「社長さんなんだ」
「左様です」
「そうなんだ、しかしね」
それでもとだ、田所は彩奈に言った。
「女の人。若くて」
「それで、ですか」
「社長さんなんだ」
「女性の社長さんは珍しいですか?」
彩奈は自分の席で腕を組んで首を傾げさせる田所に彼の横の席から言った。
「別に」
「いや、あの業界だとね」
「宮大工のですか」
「宮大工ってね」
この世界はというのだ。
「かなり独特な世界で」
「女の人はですか」
「少なくて」
そうであってというのだ。
「女の人もね」
「少ないですか」
「それで社長さんって。しかもだよ」
田所はさらに言った。
「若いんだよね」
「私と大学の同期なんですよ」
彩奈はここで笑って言った。
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