第八十六部第一章 貴族達の嘲笑その二十二
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「指導者が普通にチェーン店でファーストフードを食べます」
「そうしていますね」
「兵士が普通に高級レストランに来ましたし」
「それで平気で注文しました」
「店の者がこの店は貴族の店だと言っても」
「そうしましたね」
「連合では違うと言って」
金さえ出せばどの店にも入られるというのだ。
「左様でしたね」
「はい、確かに」
「そう言って団体で入って」
「そして食事を摂りましたが」
「調味料を多くかけ」
「そうして食べていました」
「ああしたものではです」
カミュは今度は忌々し気に言った。
「とてもです」
「こうした味はわからないですね」
「到底」
「繊細な味は」
「とてもですね」
「わかれば」
そうなればというのだ。
「奇跡です」
「全くですね」
「彼等がわかれば」
「この繊細な味が」
「それは有り得ないですが」
「有り得ないからこそ奇跡ですね」
「そうかと。ワインの飲み方も」
カミュは白ワインを飲みつつ話した、その味はいささか甘口であり今のヒラメ料理にも実によく合っている。
「この様に飲みません」
「優雅にはですね」
「飲みませんね」
「彼等は」
「気品がないですね」
「軍の士官ならです」
その立場の者ならばというのだ。
「我々は優雅に飲みますね」
「気品を以て」
「そうして飲みます」
「それがエウロパの飲み方です」
「然るべき立場の」
「これは階級の問題ではありません」
貴族や平民のというのだ。
「立場の問題です」
「私は平民です」
客の一人、茶色の髪の毛で緑の目の中年女性が笑って言ってきた。
「貴族ではありません」
「そういえば教授は爵位も」
「はい、私はそうしたものには興味がないので」
カミュに笑って話した。
「折角の申し出でしたが」
「断わられましたね」
「大統領からのお話でしたが」
「アイスランド政府からの」
「そうでしたが」
それでもというのだ。
「私はあくまで平民でいたいので」
「そうされましたね」
「はい、ですが」
それでもというのだ。
「気品はです」
「教授は備えておられますね」
「教授は地位があります」
そして権威もというのだ。
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