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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
敢闘編
第七十九話 狩りの準備
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時方向に変針、速度まま……そうなのですよ、ワイドボーン大佐。おそらく今は少将になっているでしょう。となると次は中将、艦隊司令官になる可能性が高い」
ワイドボーンが端末を操作して情報部が提供している帝国軍高級軍人のリストを表示した。姓名や部署の判明している帝国軍人だけしか表示されない上に少し古い物の様だけど充分だ。
「ラインハルト・フォン・ミューゼル、帝国軍大佐、ヒルデスハイム艦隊所属、同艦隊司令部作戦参謀…係累は皇帝の寵姫グリューネワルト伯爵夫人……コネで現在の地位についた訳ではないと?」
「そうですよ。ハイネセンの情報部はそうは思ってない様ですが。皇帝の寵姫の弟が前線で戦死でもしたらどうなります?帝国の軍部は皇帝からひどく非難されるでしょうね。ミューゼル家は帝国騎士、平民に近い存在です。そこから後宮に入ったミューゼル少将のお姉さんは宮中では疎まれていますが、皇帝の寵愛を一身に受ける存在です。彼に能力があろうがなかろうが、私が帝国軍の首脳部なら絶対に前線などには出しませんよ。帝国軍もそう考えていた筈です」
「ですが常に前線に居る…」
「はい。彼は請われてヒルデスハイム伯の補佐をしているのだと思います。でなければミューゼル少将がヒルデスハイム伯を補佐するなど有り得ませんから。彼は武勲を得る機会が欲しい、ヒルデスハイム伯は自分を補佐する優秀な軍人が欲しい。両者の思惑が合致したのでしょうね」
「閣下は先程、私なら彼を前線に出さない、帝国軍もそう考えているだろうと仰いましたが…ヒルデスハイム伯という人物は軍首脳の意向を無視出来る人物なのですか?」
「彼は帝国の大貴族、ブラウンシュヴァイク一門の重鎮です。彼が望めば、帝国においては大抵の事は叶います。大貴族にはそれだけの力がある」
「なるほど…ではヒルデスハイム艦隊の活躍はミューゼル少将の力によるものが大きい、と?」
「はい。そう考えて間違いないでしょう」
「それほどの人物ですか、ミューゼル少将という人物は」
「はい。今はまだ艦隊の作戦参謀、参謀長に過ぎませんが、彼が艦隊司令官になったら、同盟軍の艦隊司令官など雑魚扱いでしょうね。誰も勝てませんよ」
「そんな馬鹿な!…失礼しました、誰も勝てないというのは少し言葉が過ぎる…と思うのですが」
既に艦橋には司令部スタッフが全員揃っているけどワイドボーンの口調に圧倒されたのだろう、誰も口を挟む事なく静かに着席している。
「そうですね、私も少し言葉が過ぎました。ですが、そう言っても過言ではない将才を秘めた人物ですよ、ミューゼル少将は。その上しつこいときている。言う事ありませんね」
「しつこい…ですか。ですがその有能なミューゼル少将が所属するヒルデスハイム艦隊ですが、五千隻程度というのは援軍としては数が少なくありませんか」
うーん、それは全くその通り
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