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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
敢闘編
第七十九話 狩りの準備
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「それはそうですが、危険です。敵中に孤立します」
「本当にシャンタウに向かう訳じゃない。どうやら敵の司令官は慎重な人物の様だ。でなければ追撃を開始するのにこれ程時間はかけないだろう。我々を精鋭とでも思っているのか、自分の艦隊の能力に自信が持てないのか…どちらにせよ我々の動きを見定めてから動いている様に見える。撤退する余裕は充分にあるよ…オットー、この星系の外までどれくらいかかる?」
「艦隊最大速度で…八時間といったところでしょうか」
「ありがとう…ではこのまま星系外縁に向かう。艦隊針路シャンタウ方向」



4月15日18:05
ヴィーレンシュタイン宙域(シャンタウ方向)、銀河帝国軍、
ヒルデスハイム艦隊旗艦ノイエンドルフ、
ラインハルト・フォン・ミューゼル

 「敵は此方に向かっているのか?…了解した、我々が頭を押さえる。協力して叩こうではないか」

“協力を得られてまことに感謝至極でございます”

「何を言う、当たり前ではないか。たとえ小艦隊と言えど逃さず殲滅すれば軍の士気も上がると言うものだ。我々は助攻、卿が主攻。武運を祈るぞ」

“はっ”

戦闘中と連絡は受けていたものの、まさか敵が此方に向かっているとは思ってもいなかった。敵の規模は六千から七千隻。規模は少数だがマッケンゼン提督は自らの艦隊の能力を過信する事は避けた様だ。位置関係から考えて、我々との共同撃破が上策と考えたのだろう。
「本当に敵が存在するとは…参謀長のご懸念が当たった様です。理想的に推移すれば挟撃も可能…敵とはいえ憐れですな」
「だがロイエンタール、マッケンゼン提督が我々に助力を乞うという事は、敵は精鋭と判断したのではないか?」
「逆だろう。マッケンゼン中将は艦隊司令官としては初陣だ。自分の艦隊の能力に自信が持てないのではないかな。それに相手は半個艦隊程度の兵力だ。我々と協力し確実に撃破を狙える挟撃戦を行う事で自分の艦隊に戦度胸をつけよう、という腹なのかも知れん」
「卿の言う通りかも知れんな。我々が頭を押さえ、兵力に余裕のあるマッケンゼン艦隊が後方から半包囲する…理想的な挟撃からの殲滅戦だ。しかし、六千から七千隻という兵力はいかにも中途半端だな。叛乱軍は兵力不足という訳でもあるまいに」
ミッターマイヤーとロイエンタール…両者のやり取りは聞いていて心地良い。二人が艦隊を率いて戦う所が早く見たいものだ。勿論その頃にはキルヒアイスも艦隊を率いているだろう…まあ、その為には俺自身が早く上に立たねばならないのだが…。
「卿等の疑問はもっともだ。だが思い当たる節が無い訳ではない。叛乱軍は自分達の領域内の巡察専用の艦隊を新設したのだ。単独での行動、そして兵力規模から推測するにおそらくその艦隊だろう。だが…その艦隊がこんな所に出没するとなると、その設
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