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英雄伝説〜西風の絶剣〜
第91話 霧のロレント
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見た事が無いと話しオリビエはまるで壁みたいな霧だと感想を言う。ジンはこの現象は明らかに異常事態だと呟いた。


 わたし達は関所の責任者に話を聞いてみることにした。そこの隊長の話だと霧は一週間前に起き始めてあっという間にロレント地方を飲み込んでしまったらしい。


 本来なら今は関所は通れないが遊撃士協会から話が行っていたのですんなりと通してくれた。ロレント側に出るともう何も見えなくなってしまった。


「こりゃやべえな、少し先すら見えねぇじゃねえか」
「魔獣の気配も感じないな。この霧のせいか?」
「……だ、駄目です。念のために持ってきたセンサーなども使えません!」


 アガットは予想以上の視界の悪さに眉を歪めラウラは魔獣の気配が読めないと警戒を強めた。ティータは持ってきていた装置を確認するがどうやら使えないみたいだ。


 わたしは気配を読む力に長けているけどなにも感じなくなってしまった。明らかに普通の霧じゃないね。


「エステルさん、このまま進むのはあまりにも危険すぎます」
「そうね、土地勘のあるあたしさえまったく分からないし一旦戻るしか……」
「皆さん、私に考えがあります」


 クローゼとエステルが一旦引き返すべきかと話してるとエマが考えがあると言った。


「エマ、一体どうしたの?」
「実はボースに入った時、微かに魔力を感じたので念のためにあるものを用意しておいたんです」


 エステルの質問にエマが答えた何かを取り出した。


「これは眼鏡ですか?」
「はい、伊達眼鏡です。この眼鏡に術式を施しておきました、これをかければ少しは視界が良好になると思います」


 クローゼは眼鏡を見て首を傾げてエマが説明をする。


 わたしは言われたとおりに眼鏡をかけてみる。するとさっきまで隣の人すら見えなかった視界が広がったんだ。


「わっ!凄い!さっきより明らかに視界が良くなったわ!」
「これなら注意して進めば魔獣の不意打ちなどにも対処できそうね。やるじゃない、エマ」
「本当なら完全に視界をよくしたかったのですが急遽作ったのでそれくらいしかできませんでした。申し訳ありません」
「いや十分だ。これでロレントに向かうことが出来るな」


 エステルは眼鏡をかけて嬉しそうに当たりを見渡しシェラザードは感心していた。エマは完全に視界をよく出来なかったことを謝罪するがジンが十分だと答えた。


「それにしても……あはは!アガット、アンタ眼鏡をかけても頭良さそうには見えないわね〜!」
「あぁっ!?てめぇだって似たようなもんだろうが!」


 エステルがアガットをからかうがお互い様だと思う。二人とも直感で動くタイプだから知的って感じじゃないよね。


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