第二章
13.大灯台へ
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「フォルよ。ここまでの旅は疲れたか」
「いえ、ハゼリオ様にいろいろなことを教えてもらいながらでしたし、楽しかったです」
「……の割に、顔が一段と白いのは、船酔いか」
「あ、はい。思っていたより揺れるので、少し」
「ならば船の中央のやや後方あたりに移るべきか。あちらに行こう」
「申し訳ありません」
「ここで遠くを眺めているといい」
「ありがとうございます。あ、鳥が飛んでいますね。その向こうは……あの大きいのはもしかして」
「そうだ、翼竜バピラスだ。あの個体は我々の教団の配下。ザハンの町を出たときからずっと儂らを見守ってくれている」
「ここまで全然魔物に襲われないのはどうしてかと思っていましたが、そういうことでしたか。しかし今ハゼリオ様は仮面を着けられていませんが、あのバピラスさんは人間の区別がつくのでしょうか?」
「あの翼竜は賢いからな」
「頭のよい魔物なのですね」
「ふむ。『魔物』というのはあまり正しい言い方とは言えない。我々と同じようにこの世界の動物の一種に過ぎぬからな。お前もロンダルキアに来ればそれをすぐに理解するだろう」
「はい! 気をつけます」
「ベラヌールに到着すれば、もうロンダルキアへ着いたも同然だ。船酔いもあと少しの辛抱だな」
「ロンダルキアにはベラヌールから行くのですか?」
「そうだ。ベラヌールには我々しか知らぬ旅の扉がある。そこからロンダルキアへ行けるのだ」
− − −
魔術師フォル、老アークデーモン・ヒース、少女バーサーカー・シェーラの三人は、大きな籠に乗り、空を飛んでいた。
籠からのびている縄の先は、四体の翼竜・バピラス。そのコンビネーションは完璧で、揺れのほとんどない、快適な飛行となっていた。
行き先はアレフガルドの南、ムーンブルクの西に浮かぶ島にある、大灯台。
かつてはロンダルキアの様子を逐一ムーンブルク城へ報告していたという、その塔。今もなお陽が沈みそうになると光が灯ることから、ムーンブルク滅亡後も単独で監視を続けている可能性が高いと見られている。
今回フォルたちが赴く目的は、その監視をやめさせ、最上階に設置されているという大望遠鏡を撤去すること。
教団再建の時間稼ぎとして有効であると判断したのである。
「バピラスさんたち、休憩しなくて大丈夫ですか?」
見上げて、フォルが声をかける。
「おいコラ。もうこの先ずっと下は海だぞ。休憩挟んだら籠が沈んでオレら死ぬだろ」
シェーラの突っ込みに「あ、そうでしたね」とフォルが頭巾を掻いていると、バピラスの一体が、雄々しい声で一鳴きした。
「バピラスは休憩なしで大丈夫だと言っとるぞ」
「ヒースさんはバピラスの言葉がわかるのですね? すごいです」
「だいたい、じ
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