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邪教、引き継ぎます
第二章
13.大灯台へ
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ゃがな。もともとワシらアークデーモンの先代族長が一部のバピラスたちの指揮役をしておったのじゃ……ハーゴン殿の指示でな。がれき撤去作業で呼び出し用の笛が見つかってよかったわい」

 このバピラスたちを呼び出したのは、この老アークデーモンである。
 当初の予定ではもっと呼び出して大人数で行くはずだったのだが、すでに結構な数がロトの子孫たちや人間の兵士たちに討伐されてしまって個体数が減っている影響なのか、笛の音を聞いて応じてくれたのはこの四体だけだった。

「ハゼリオ様の研究資料も見つかりましたし、がれきのお掃除を手伝ってくださった皆さんには感謝しています」
「前にも言ったが、あの資料は少しずつでよいからしっかり読み込んでおくのじゃぞ」
「はい!」

 順調に進んだがれきの撤去作業では、大神殿にいた者たちのさまざまな遺留品を発見することになった。その中には、悪魔神官ハゼリオによる日々の業務日誌や膨大な研究記録なども含まれていた。

 フォルはとにかく自分や各種族にとっての形見の品が増えたことを喜んだ。が、老アークデーモンは、ハーゴンの右腕と称されていたハゼリオが生前に握っていた、教団の極秘情報をフォルが引き継げるということも重く見ていたのである。

「そういうのはわざわざオッサンが念を押さなくても、こいつはちゃんとやるだろ」
「ふむ。そうじゃな」
「それより、オレはこいつが大灯台でちゃんとやれるのかが心配だ」

 籠に寄り掛かり、腕を組んだままバーサーカーの少女はそんなことを言う。

「大丈夫です。バピラスさん飛ぶのがお上手ですので揺れてませんし、全然酔っていませんよ」
「いや何の話だよ……。オレが言いたいのは、お前ちゃんと戦えるのかってことだよ」
「えっ。今回は話し合いをしに行くのですよ?」
「んなもん決裂するに決まってるだろ。戦いになるから、戦って、殺して、望遠鏡とやらも壊して、全部きれいにして帰るんだよ」
「いや、最初からそんなことはあまり考えたくないと言いますか」

 バーサーカーの少女が、風でなびいていた深紅の髪を掻きむしった。

「お前なぁ。戦場ではそうやって頭の中がもたついてる奴は、問答無用で敵に斬られてあっさり死ぬぜ」
「大丈夫じゃろ。ローレシアの王子にも向かっていったくらいじゃぞ」
「そう思いたいけどよ。普段のこいつを見ていると嫌な予感しかしないぞ」
「それがよいところでもあるからの。まあハーゴン殿やハゼリオ殿とはまったく雰囲気が違うゆえ、いまだ戸惑っている者が多いのは事実じゃがな」
「ご心配をおかけしてすみません……」
「そういうヘタレなところが心配なんだっつーの」
「まあまあ。危ないときはワシらでフォルを助けるぞ」

 老アークデーモンの右手には、三つ又の槍が握られていた。
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