第三幕その六
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まずはおじさんがです、こう言いました。
「お魚かい」
「あと貝や海老ね」
「蛸も烏賊もか」
「海の幸をなの」
「ええ、どうかしら」
ドロシーはお二人に言いました。
「これからね」
「ドロシーの誘いか」
「それならね」
お二人はドロシーの言葉にこう反応しました。
「是非ね」
「行かないとな」
「丁度お仕事も一段落したし」
「暇だしな」
「けれど冒険の旅ね」
「それで魚介類を食べるのか」
お二人は考えるお顔で言いました。
「わし等も」
「皆と一緒に」
「どうかしら」
ドロシーはお二人に尋ねました。
「それで」
「だから断る理由はないよ」
おじさんが笑顔で答えました。
「ドロシーが誘ってくれるなら」
「そう言ってくれるのね」
「ドロシーはわし等の娘だ」
「そのことは変わらないから」
それでと言うおばさんでした。
「そのドロシーのお誘いならね」
「どうして断るか、しかし」
おじさんは心配そうに言いました。
「わし等は魚介類はな」
「昔から殆ど食べたことはないわ」
おばさんも言います。
「カンサスにいた頃から」
「カンサスにいた頃はあるものばかり食べてのう」
おじさんもこう言うのでした。
「あれが食べたいこれが食べたいとかな」
「贅沢言えなかったわね」
「そしてオズの国に来ても」
「結構昔ながらのお食事よね」
「ああ、お肉や色々なものを食べられる様になってもな」
「その時食べたいと思うものを」
「調味料や香辛料もふんだんに使えて」
「夢の様な生活だよ」
おじさんは満ち足りた笑顔で言いました。
「本当に」
「そうよね、今は村のお店にも行って」
「それで楽しめるしな」
「満足してるわね」
「何も不自由なくな」
「お食事もそうで」
おばさんはここでリビングのテレビを見て言いました、今は電源が切られていて画面は真っ黒です。
「電気があってテレビが観られて」
「ラジオどころかね」
「パソコンもある」
「携帯電話だってね」
「水道もガスも通っていてな」
「何時でもお風呂が入られるし」
「洗濯も好きなだけ出来て」
家事のお話もします。
「食器洗いだってな」
「自由に出来るわ」
「新鮮なお水を飲めて」
「何の不自由もないわ」
「いや、こんな幸せになるなんてな」
おじさんは機微を捻りつつ言いました。
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