第1章 守らなければならないものがある
3話「ポーラン」
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をつけながら運び……
ン? 方舟計画が始動した頃、マキはまだ若者と言っても問題ない程度の年齢のはず。もし若者の枠から外れたとしても、体力もありまだまだ元気な頃だったろうに。
方舟への乗船が断られる事例として、犯罪歴があるとか、人格に問題があるとか、そういうチェック項目もあったはずだが、マキはそれに該当するような人物とは到底思えない。
となると……
「……もう、元気がないのか」
「なーに神妙な顔つきでぼやいてんだー?」
「わっ!?」
とても口に出せないようなことを考えていたところに話しかけられ、驚きのあまり後ろに大きく跳んで声の主から距離をとる。心臓____正しくは心臓を模した、体内に流れる魔力の回りを司どる器官だが____がドキドキと大きく鼓動するのがわかる。もしかすると先程の襲撃の時より鼓動が早いまである。
「そこまで拒絶されると傷つくぞー」と、全く傷ついていなさそうな顔で男はぼやく。
マキ以上の長身。黒いカッターシャツは体が動かしやすいように腕まくりしてあり、戦闘員随一の鍛え上げられたたくましい腕が見せつけられている。だが鍛えすぎている、ということもなくバランスが取れていてとても清潔に見える。アメジストのような奇麗な紫の瞳を持っているくせに目つきが悪いのは少し残念だが、左目の下にある泣きぼくろと彼の極上の体付きを見れば、その魔力に女性たちは卒倒するだろう____なんて、誰かが言ってたような気がする。
私は正直、心底興味ないけれども。よくこの男の容姿について熱烈に言葉を紡げるなと感心する。
よー、と軽く手を振ってくるこの男は、名前をポーランという。役割としては戦闘員と、マキの相棒、そして私の"付き添い役"だ。
「この前、また私の部屋の前にあなた宛の贈り物が山積みになってましたよ」
「マジか。俺の部屋に直接置きにこいとは伝えてんだけどなあ……」
普段シティの生活区域の方まで顔を出しに行くことはないが、外壁や研究室には頻繁に顔を出すため、そこにいる女性たちの人気をこれでもかというほどポーランは集めている。私に植え付けられた人間にできるだけ近付けられた感性からすると、ポーランよりマキの方が人気が出そうなのではと思うのだが、そもそもマキはあまり人前に出てくることがなく認知度が低いため、ポーランほど人気がないように感じるのだろう。
でもまあ、これだけ嫌味のような印象を持っているが、嫌いということは一切ない。むしろ感謝している。私は人形であるわけだが、ポーランはそんな私に対してもこのようにまるで一人の人間に接するかのように話しかけてくれる。かなり優しいというか、もはや優しすぎる、また面倒見が良い人格の持ち主だとは思うが、彼がいなかったら私はどうなっていたかまるで想像がつかない。
魔法自動人形は動
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