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星河の覇皇
第八十六部第一章 貴族達の嘲笑その十六

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「新天地から得られるそれを」
「そしてですね」
「その利益も使い」
「さらに大きくなる」
「そうなるのです」
 エウロパはというのだ。
「これから」
「あの暗黒宙域をですか」
「越えます」
「長い時間かかかりますね」
「ですが」
 それでもというのだ。
「途中に幾つか中継基地も設けていって」
「徐々にですね」
「莫大な予算と時間はかかりますが」
「越えますね」
「はい」
 そうなるというのだ。
「あの宙域も」
「かなりの距離ですが」
「まさに何十万光年もある」
「その距離をですね」
「踏破するのですね」
「我々はもうです」 
 それこそというのだ。
「既に一度達成しています」
「大航海時代ですね」
「あの時にすでにそうしていますね」
「大西洋を横断し」
「喜望峰も抜けています」
「あの時は海図も何もありませんでした、いえ」
 カミュはその大航海時代のことをさらに話した、それはエウロパにとっては栄光のはじまりの時代であるだけに彼も思うところがあるのだ。
「むしろです」
「あの頃は地球は丸いと思われていませんでした」
「天動説の時代でしたね」
「そうでしたね」
「あの時代は」
「そうでした、ですが」
 それでもというのだ。
「海の英雄達はあえてその果てに向かいました」
「はい、世界に端があると言われ」
「そしてその果てには魔物がいると言われても」
「それでもでしたね」
「あの彼等は行きましたね」
「富を求めて行きましたね」
「そしてプレスター=ジョンの国もです」
 欧州の遥か彼方にあると思われていたキリスト教国だ、その国と結びイスラム勢力に対抗しようとしていたのだ。
「求めていました」
「その為に大海原に出ましたね」
「まともな海図もないままに」
「そして中継地もなく」
「壊血病にも悩まされ」
「多くの犠牲を払い」
 嵐や壊血病で死んでいったのだ、ポルトガルなぞこの時代人口が激減してしまっていた。何の犠牲もなかった時代ではなかったのだ。
「そしてです」
「それで、でしたね」
「大西洋を踏破しましたね」
「そして喜望峰を抜けましたね」
「アジアにも至りましたね」
「そうなりました、ですが」
 今はというのだ。
「違います」
「左様ですね」
「暗黒宙域の宙図は既に整っています」
「そして中継基地も傷ける」
「全く違いますね」
「大航海時代と違い」
 そしてというのだ。
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