第一章
[2]次話
お見合い前のカツカレー
終業時間になり帰ろうとしたところでだ。
「えっ、発注先がですか」
「急にトラブルでだよ」
部長の坂本慎は高田信孝、面長で色白で切れ長の目と細長い眉を持つ奇麗な黒髪の中背の痩せた彼に言った。
「とんでもないことになってね」
「うちもですか」
「うん、仕事が急にだよ」
「舞い込んできて」
「今日中に何とかしないといけなくなったよ」
こう高田に言うのだった。
「本当にね」
「この時間にですね」
「今日中に何とかしないと」
部長はさらに言った。
「発注先もうちも危なくなるよ」
「そんな事態ですか」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「後で有給と残業手当は出すから」
「それで、ですか」
「社員は全員で」
まさに総出でというのだ。
「あたろう」
「さもないとですね」
「本当に危ないからね。勿論私も残るし」
部長は自分もと言った。
「会長社長もだよ」
「本当に全員ですね」
「残って」
終業時間だがというのだ。
「頑張ってくれ」
「わかりました」
高田もそれならと頷いた、そして何と一時過ぎまでかけてその仕事を終わらせた。そのうえで自宅に帰るとだった。
シャワーも浴びずに寝た、だが翌日母に言われた。
「あんた今日お見合いなのに」
「わかってるよ」
両親と同居している彼はバツの悪そうな顔で答えた。
「けれど昨日急な仕事で残業で」
「疲れてたのね」
「そうだったんだよ」
「だったらすぐにシャワー浴びなさい、あとね」
母はさらに言った。
「今日の朝はレトルトだけれど」
「何だよ」
昨日は仕事帰りにコンビニで買ったパンで夕食を済ませたのを思い出しながらそのうえで母に応えた。
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