第二章
[8]前話
明美はその国の名前を見て子供の頃クラスメイトに言われたことをここで思い出してそのうえで言った。
「嘘っ、この国って」
「知ってるの?」
「知ってるも何も」
それこそという声で言うのだった。
「世界一貧乏な国でしょ」
「それ何時のお話よ」
「二十年前位は」
自分が子供の頃はというのだ。
「そうだったじゃない」
「そういえばね」
母もそれはと返した。
「昔はね」
「世界一貧乏で」
そうした国でというのだ。
「食べるものもお家も服もない」
「皆餓えていたわね」
「お金も資源もないね」
「それが石油とかダイアモンドとかが発見されて」
母は娘に話した。
「そこから経済が発展して。他の国の援助も受けて」
「それでなの」
「お金持ちになってね」
そうなってというのだ。
「それでね」
「うわ、凄いわね」
見ればだ、母が紹介した画像では。
高層ビルが立ち並んでいてだった、そのうえで。
ホテルにリゾート地にレジャー施設にだった、そうしたものがあって。
「別の国みたいよ」
「今格安ツアーでよ」
「旅行に行けるの」
「そうよ」
「そうなのね」
「今は凄いお金持ちの国で」
そうなっていてというのだ。
「国民所得は日本より上よ」
「凄いわね」
「税金がない位で教育やサービスもね」
「いいのね」
「そうよ、そうした国になっているのよ」
今はというのだ。
「凄いでしょ」
「ええ、私が子供の頃は貧乏で」
明美はそれでと言った。
「食べるものもお家もない位だったのに」
「それも変わるのよ」
「貧乏はずっとじゃないのね」
「努力するなり運次第でね」
「お金持ちにもなるのね」
「そうよ、それでここどう?」
「考えてみるわ」
この時はこう答えた、そしてだった。
明美は暫くこの国のことを調べた、するとレジャー関係は充実していて食べものや飲みものの評判もよく治安もだった。
しかも本当に格安だった、それでだった。
その国に旅行に行った、するとそこは何もかもがある地上の楽園の様な場所だった。そこで世の中は変われば変わるもので国も然りだと思ったのだった。
貧乏だった国が 完
2024・2・16
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