第八十六部第一章 貴族達の嘲笑その十一
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「あの国は嘘八百にしてもローマ帝国より歴史があるとか言っています」
「あの神武開闢ですね」
「紀元前六百年頃だといいますが」
「その頃はまだ神話です」
「ギリシア神話の話です」
「その頃から国があると言いしかも」
さらにというのだ。
「皇帝を戴いています」
「皇帝はローマ皇帝です」
「そのローマ皇帝の同格とは」
「その皇帝、皇室は四千年続いている」
「本当かどうかわかりませんが」
「少なくとも三千年は続いている家です」
「そんな家を国家元首に戴かれると」
カミュはさらに話した。
「我々は権威でも負けています」
「全くです」
「ローマ教皇に匹敵する権威です」
「その権威まで持っています」
「そうした国なので」
「あの国には国力だけでなく歴史でも因縁があり」
エウロパにとってはというのだ。
「権威ではエウロパ総統以上です」
「言うならエウロパ総統がローマ皇帝です」
「エウロパを統一している政府の国家元首ですから」
「だからそうなりますが」
「ですがそれでもです」
「世襲ではなく権威はありません」
「そうです、権威はどうしてもです」
このことについてはというのだ。
「総統は皇帝に負けます」
「世襲制ではないので」
「統治にはいいですが」
「権威となると」
「日本には劣りますね」
「そうですが」
しかしというのだ。
「あの国の権威にはです」
「どうしてもですね」
「負けますね」
「エウロパ各国には今は王しかいません」
「皇帝はいません」
「そうした状況ですし」
「しかも日本には今八条義統長官がいます」
カミュは彼の名前も出した。
「あの御仁が」
「日本の貴公子ですか」
「あの非常に外見の整った」
「しかも気品まである」
「あの御仁ですか」
「ただ外見がいいだけではありません」
八条、彼はというのだ。
「連合の国防の責任者としてです」
「我々を追い詰めていますね」
「常に」
「そうしてきていますね」
「連合で第一の強敵です」
エウロパから見てというのだ。
「ですから非常にです」
「日本という国はですね」
「エウロパにとって忌々しい」
「あの御仁も含めて」
「そうです、あの長官殿がいなければ」
八条、彼がというのだ。
「そう思うことがよくあります」
「嫌味ではないですが有能ですね」
「我々を苦しめる手を着々と打ってくる」
「そうした御仁ですね」
「その国防政策が的確なので」
連合にとってというのだ。
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