第10話
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破邪の洞窟地下180階を彷徨っていたハドラーちゃんは、そこで白骨化した人間を見つけた。
「ほお。ここまで辿り着けたと言う事は、本来なら地上にその名を轟かせる筈だった者……であった筈か」
破邪の洞窟の全貌を知り尽くす事無く力尽きた無名の無双者の無念を思うと、1周目のダイと戦ってからアバンの腕の中で死ねた事がどれだけ幸せかを改めて思い知らされた。
「もし……こんな所で潰えず、無事にアバン達と合流していたら……」
そう考えると、どうしても自虐的な笑みが浮かんでしまうハドラーちゃん。
「かつての俺では無理だな。特に大魔王バーンの手下と成り下がった情けない俺如きでは……」
そう考えると、この人骨が非常に勿体無く感じた。
「どっちにしろこのまま腐らせるには惜しい逸材である事だけは確かか?」
そう言うと、ハドラーちゃんが懐から2本の筒を取り出した。
「破邪の洞窟もここまで下ると、欲しいモンスターがうようよいるからな、空の魔法の筒をもう少し増やすか……デルパ」
ハドラーちゃんが取り出した筒から出て来たのは、溶岩魔人と氷河魔人。もしもバーン軍との戦いで兵力が大幅に減衰した時に備え、新たなフレイザードを作る為に保存しておいたものだ。
「まさか……もう作る事になるとはな……」
ハドラーちゃんが今からやろうとしている事は……あまりに卑怯なために使うのを禁じられていて、使うと魔法使いの間で仲間外れにされるという呪法。
白骨化した無名の無双者、溶岩魔人、氷河魔人を融合させて禁呪法生命体に作り変えようとしているのだ。
ハドラーちゃんが呪文を唱えると、溶岩魔人と氷河魔人がドロドロに溶けながら白骨化した無名の無双者を包み込んだ。
「甦れ!フレイザード!」
溶岩魔人と氷河魔人と言う新たな肉体を得た白骨化した無名の無双者が再び目を開くが、その姿にリアクションに困るハドラーちゃん。
「おーーー!おっ……お?」
完成したのは、屈強とは真逆の可憐な美少女であった。
「こいつが……本当にここまで辿り着いた猛者……なのか?」
少女は突然名乗り始める。
「百合の香りに誘われて、百合の導きに救われし女性達に新たな命をもたらす為、死の淵から今舞い戻るぅー。フレイザード2号!再臨よー!」
その自己紹介に驚くハドラーちゃん。
「2号だと!?何で貴様が1周目のフレイザードの事を知っている!?それに、さっきから百合百合って、俺はそんな趣味は無いぞ!」
ここでハドラーちゃんが自分の趣味についてとやかく言うのには、一応理由があった。
生み出された禁呪法生命体は、術者の精神が反映された意思を持つからだ。その証拠に、魔軍司令時代のハドラーが生み出したフレイザードが狡猾で残忍かつ名誉欲に凝り固まった性格であり、親衛騎団のメンバーが騎士道精神と仲間意識や
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