第一章
[2]次話
子供が憧れるギャンブラー
谷田修の職業はギャンブラーである、雀荘と居酒屋を経営していてそちらで生計を立てているが自分ではこう言っている。
セットした赤がかった髪の毛と三十代後半だがまだ二十代でも通じる若い威勢のよさそうな顔立ちである。背は一七五センチ位ですらりとしている。
昼はいつも暇だ、それでぶらぶらしていると。
公園に一人の子供がいた、泣いていたので声をかけた。
「坊主、どうした?」
「おじさん変質者?」
「ギャンブラーだよ、いきなりそう言うか」
「だってお昼にぶらぶらしてるなんて」
「変質者だってのかよ」
「そうじゃないの?」
「歌舞伎町で居酒屋と雀荘やってるんだよ」
このことを素直に話した。
「それで麻雀とパチスロと競馬と競輪でも儲けてるんだよ」
「そうなんだ」
「それで昼は暇でな」
雀荘も居酒屋も夜に営業するからだ。
「これからパチンコ行くけれどな」
「そこで僕に声をかけたんだ」
「ああ、何で泣いているんんだよ」
「トランプで全然勝てなくて言われたんだ」
あどけないその顔で言うのだった。
「弱いって」
「そうなんだな」
「どうして勝てるのかな」
「それは遊び方によるけどな」
谷田は男の子に話した。
「まず相手を見ろ」
「相手を?」
「トランプもギャンブルだからな」
彼の中ではそうであるのだ。
「ギャンブルならな」
「相手を見るんだ」
「相手を見ないでやったらな」
そうすればというのだ。
「もうな」
「どうなるの?」
「負けるんだよ」
そうなるというのだ。
「トランプだったらババ抜きやポーカーだったら相手いるだろ」
「うん」
男の子もそうだと答えた。
「そうだよね」
「相手の表情、目の動きをな」
「見るんだ」
「仕草までな、パチンコだって打つ台の種類によって違うからな」
経験から言うのだった。
「その種類のことを勉強して打たないとな」
「駄目なんだ」
「競馬も馬と騎手を見てな」
そうしてというのだ。
「競技場や競技の日の天候もだよ」
「そこまで調べるの?」
「そうだよ、競輪も同じだよ」
こちらもというのだ。
「麻雀だって相手見てどんな奴かわからないとな」
「勝てないんだ」
「ああ、トランプだって勝とうと思えば」
そう願うならというのだ。
「相手をな」
「見るんだね」
「自分のことをな、神経衰弱だってな」
こちらもというのだ。
「途中混ぜてもな」
「それでもなんだ」
「それまでもめくってどのカードがどんな数字でマークかな」
「スペードとかダイヤとか」
「見てな」
そうしてというのだ。
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