第二章
[8]前話
二人だけで話そうとなった、すると保高は優子と一緒にお見合い場所のホテルの庭を歩きつつ言った。
「姉ちゃんって昔からなんだよな」
「敢えて言わないでね」
「サプライズとか好きなんだよな」
「そうよね」
「困るよ」
ぼやいて言った。
「本当に」
「そうなのね。私はね」
「優子ちゃんは?」
「高校まで同じだったしご近所さんで」
それでとだ、優子は保高に話した。
「実はね」
「俺のことをなんだ」
「嫌いじゃないし。保高君はどうなの?」
「そう言われたら嫌いじゃないよ」
保高も応えた。
「別に。だからまた会う?」
「これで終わりはね」
「ちょっと、だよね。これも縁だし」
「ええ、じゃあまたね」
「会おうね」
「そうしましょう」
こうした話をしてだった。
二人はこの日だけで終わらずさらにだった。
一緒に合う様になった、それを一年程続けていると。
二人は自然に交際する様になった、そしてある日だった。保高は自分の方から優子に対して言った。
「よかったら」
「私でいいの?」
「優子ちゃんの方こそね」
夜のそれぞれの仕事帰りのレストランで言った。
「俺でよかったら」
「そんなの決まってるじゃない」
優子は保高に微笑んで応えた。
「もうね」
「そうなんだ」
「今言った通りよ」
「いいんだね」
「ええ、お互い知ってるしね」
「そうだよね、じゃあ」
「宜しくね」
優子はにこりと笑ってだった。
保高に応えた、こうしてだった。
二人は結婚した、そしてそれから幸せに過ごした。だが保高は姉に会うとよくこんなことを言った。
「まさか姉ちゃんの会社で働いていたなんて」
「思わなかったの」
「それで俺のお見合い相手に言うなんてな」
「それも縁よ、縁はね」
姉は弟に話した。
「わからないものよ」
「どういったものか」
「そうよ、だからね」
それでというのだ。
「こうしたこともあって」
「結婚もするんだ」
「それも世の中ってことよ」
「そういうものなんだな」
「ええ、そうよ」
こうした話もするのだった、だが話すその顔は悪いものではなかった。
お見合い相手は幼馴染み 完
2024・2・15
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