第三部 1979年
孤独な戦い
匪賊狩り その2
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関して詳しい話を聞いていた。
今回は美久とグレートゼオライマーを陽動に使い、マサキが乗り込む算段になっていたからである。
ゼオライマーも、グレートゼオライマーも、マサキが操縦する前提ではあったが、一応美久の自動操縦による戦闘も可能であったからだ。
ただ50発以上搭載した核弾頭は、マサキの生体認証が必要なために使えず、通常のトマホークミサイルとクラスター弾に切り替えて装備した。
また、人工知能搭載の無人戦術機も使えたが、美久自身がゼオライマーの操縦にかかりきりになるので、今回は推論型AIの負担を軽減する意味で、使用しないことにした。
マサキがソ連を憎むことは、ひと通りでなかった。
前々世では、ソ連と通じた防衛庁長官の仕向けた刺客によって、志半ばで落命したためである。
「なんで、俺が露助どもを助けに行かねばならんのだ」
鎧衣は、さして苦にする様子もなく、かえって彼に反問した。
「詳しい話は、今から合う人物に聞くとよい」
「き、貴様……露助二人を救うだけのために貴重な戦力を割くのだぞ」
奮然マサキは、反抗しかけた。
だが、美久になだめられて、不承不承、
「どういうことか、わかっているのか」
「君にも悪くない話が合ってね。
一人では余りにももった得なくてね。私も日本の為に、たぎる愛国心に燃えて相談に来たのだよ」
鎧衣は、敢然と答えた。
すこし小癪にさわったような語気もまじっていた。
なぜならば、昨日、大統領官邸で面談したときの態度と、きょうの彼の様子とは、まるで違って見えたからである。
「僕も、とにかく何のことかわからないけど鎧衣の旦那が行うからついてきたわけで……」
やり場のない心を抑えるために、左胸のポケットに入ったホープの箱を取り出す。
馬鹿を言えといわぬばかりに、マサキは鎧衣の顔をしり目に見ながら、タバコに火をつける。
「訳を利かせよ」
紫煙を燻らせながら、ふと面の怒気をひそめていた。
「我々が、ラトロワさんたちを救出しようと計画していることをソ連が知ったらどうなるか……
ソ連の国家の威信を傷つけることを、必死になって避けるはずだ。
KGBに命じて、彼らを救出することになるだろう」
マサキは内心、どきとした。
だが、何時ものように不平顔を見せると、鎧衣は笑って、その肩を撫で、かつなだめて、
「特に、一緒にいるグルジア人の彼は、グルジア共産党第一書記の息子だ。
ソ連の中央政界とのつながりも深い……そんな人間が他国の軍隊の手で救出されてみたまえ。
そうしたら、KGBのスリランカ支部の人間は、全員これだろうね」
鎧衣は、不敵の笑みを浮かべ、立てた親指で首のところに一筋の線を書いた。
斬首される……つまり処刑されるという暗示である
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