第三部 1979年
孤独な戦い
匪賊狩り その1
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もって、敗戦国日本への追訴を止めるように訴えかけたことぐらいだろうか。
これによって、日本の国際社会復帰は、多少早まった。
マサキには、別な考えがあった。
セイロン島を含めて、インド洋からイランにかけて、数珠の様に対ソ・対中の防衛拠点を作ることを夢想していた。
この首飾りのような防衛構想は、後の時代に真珠の首飾りと呼ばれるが、その話は別な機会に改めてしたい。
さて、マサキ達はインド海軍の船から降りた後、コロンボにある大統領府に来ていた。
執務室に招かれた彼らは、まず政府首脳からの謝罪を受けることとなった。
「今度の襲撃事件はマスコミには伏せておく。
モルディブでのクーデター騒ぎに関わったスリランカのテロ組織が外国のひも付きなどということがバレては、大騒ぎになるからなぁ……」
マサキは、にっと、冷ややかな笑みをふくんで、彼等を見ていた。
「大統領、あんたも辞職せねばならんだろう」
大統領はじめ閣僚たちは、いやに仰々しく、マサキの前に平伏して、わび入った。
「ど、どうも……」
「ご配慮くださり、ありがとうございます」
マサキは、ひどく馴れ馴れしい態度と来ている。
そんな慇懃ぶりなどに用はない、といった風で単刀直入に言って返した。
「その代わり、この俺が、島の北部を根城にするタミル・イーラム解放の虎を壊滅することを認めてほしい」
マサキは、かねて期したることと、あわてもせず、攻撃の準備をいいつけた。
大統領をはじめ諸臣は、その軽挙を危ぶんで、諫めた。
「そ、それは……」
マサキの発想は、あまりにも奇想天外であった。
なお疑っている様子の閣僚たちに、説明をし始めた。
「俺たちは、スリランカ人でも、インド人でもない。
大統領、お前にとってもこんなに都合の良い話はないだろう。」
マサキは、あっさり言ってのけた。
しかし彼自身にすれば、以前から考えぬいていたあげくのもので、とっさから提案ではない。
「日本の近衛軍は、セイロンの土匪と対決させるために我々を派遣した。
もし、俺たちの身に何かあっても、その責任は日本政府にあるのだからな!」
マサキは言った。
たのもしい武人と見えもするが、しかし大統領たちは、木原マサキは何とも腹のわからないお人であるとも、ひそかに思った。
そのまま晩遅くまで会談をしながら、スリランカ政府の閣僚たちは、何かとマサキの知恵を借り、将来の計を授かっていた。
マサキがスリランカ政府との交渉をしている頃、ソ連は別な方策を取っていた。
それは、戦術機と爆撃機の大部隊によるセイロン島北部の空爆である。
ソ連赤軍は、かつての消耗戦争やインドシナ紛争の顰に倣って、準備した。
衛士にインド空軍の強化装備と認識票を付けさせ、国籍マークをインド空軍に塗りな
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