第1章 守らなければならないものがある
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美しき緑の惑星、地球。
______この星がそう呼ばれていた頃から何年経ったのだろう。
二〇七四年。ある国に一つの核爆弾が投下されたことが滅びの始まりだった。
制裁、報復。戦争と一緒に、恐怖と恨み、そして絶望は瞬く間に世界中に広まっていった。核弾頭を積んだミサイルが頭の上を飛び交い、何百万との人間が死んだ。
神はきっとそのような愚かな行為をする人類に、ついに罰を与えるべきと判断したのだろう。
それ以降、世界中で大厄災が発生するようになった。
極北の大地に隕石が落下した。幸いにも人間があまり住んでいない土地に落下したが、それでも世界中にとてつもない衝撃が走った。
赤道付近の乾いた大地で豪雨が続いた。雨は気付けば荒れ狂う巨大な水の流れとなり、いくつかの国を飲み込んだ。戦争は続行できなくなりついに終戦となったが、戦争の影響で各国の物資は尽きており、自国の分を賄うのも厳しい状態だったため、支援は行われなかった。
極東の島国で巨大地震が発生した。地盤が大きく滑り、本島は真ん中で二つに割れ、一部の地域は海底へと沈んでいった。難民は周辺の国々に庇護を求めたが、誰も受け入れることができる余裕は持ち合わせていなかった。
大国の、地球史に影響を与えてきた恐ろしい火山が目覚めた。その国に住む人々は消え去り、大地も灰へと変わった。明けない冬が訪れ、度重なる悪夢から逃げようと、自死を選ぶ人間が急激に増加した。
そんな中、各国のまだ生き残っている要人や富豪たちはあることを閃いた。『どうにか、残されたすべての国の知恵と技術をかき集め、この星を脱出しよう』と。それは"方舟計画"と名付けられ、計画と開発が急ピッチで進められたが、方舟の打ち上げに難航。答えが出せないまま時は過ぎていき______次の大厄災が訪れる。
地球外生命体が地球を侵略しにやってきた。銀色に艶めく体を持つ彼らが未知の宇宙船から降ってくるその様は"銀の雨"と言われた。聞いたことのない唸り声。荒れた土地に残されていた瓦礫を全て砕き灰に変える閃光。核爆弾の比にならないレベルの爆発、衝撃。人間は抵抗する前に殺されていった。
この頃にはもう、世界のどこを探しても無傷のまま残っている土地はなかった。
緑の惑星は、氷に閉ざされた灰の惑星へと変わってしまった。
残された人間たちのうち、まだ生き延びようと意思を持ち続けた者は"新世界政府"を作り、地球脱出に取り組んだ。地球外生命体が残していった宇宙船のパーツを使って方舟を完成させ、永住が可能なスペースコロニーも見事に作り上げた。方舟計画は、未来がある子供たち、優秀な遺伝子を持つ男性、子供を産むことができる女性をスペースコロニーへ移すべく進められた。地球で招集された人間を乗せ、コロニーへ向かう。そしたらまた地
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