第五十七話 音楽の神霊その二
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「あの人も結婚出来んかった」
「それで孤独か」
「家庭教師をしていた女の子に振られて」
「それでそのお家の女中さんと付き合ってな」
「梅毒になったらしいな」
「そうらしいな」
「それでな」
施はシューベルトの話もさらにした、尚シューベルトはベートーベンを心から敬愛しその棺を持った者の一人でもあった。
「その治療で水銀使ったけど」
「その中毒で亡くなったそうやな」
「チフスやなくてな」
「そやったな、何でもな」
施はさらに話した。
「ベートーベンさんは耳のことも有名やが」
「聴こえん様になったな」
「あれも梅毒でな」
一説にはそう言われている。
「耳管が塞がって」
「耳の穴の周りの肉が膨らんでか」
「そうなってな」
「聴こえん様になってか」
「そうらしいわ」
「成程な」
「そして耳のこともあって」
晩年は全く聞こえなくなっていたという。
「尚更な」
「ややこしい人になってたか」
「それで嫌われて」
そうなっていてというのだ。
「敵にもな」
「囲まれてたんやな」
「そうやったらしい」
「あれね、シューベルトさんは沢山のお友達に囲まれてても孤独で」
「ベートーベンさんは大勢の敵に囲まれて孤独やったな」
「そういうことよね」
「そやな、思えば」
さらにだ、施は言った、
「気の毒な人ではあるな」
「そうよね」
「別に意地悪でもなかったし」
「残酷でもなかったけど」
「そうした気質やったさかいな」
「好かれてなかったのね」
「ああ、本人さんにとってもな」
ベートーベン自身にとってもというのだ。
「極端に癇癪持ちで尊大で気難しくて頑迷な」
「その性格はええものやなかったってことね」
「そういうことやな」
まさにというのだ。
「結局は」
「偉大な音楽家さんだけれど」
「幸せな人やなかったわ」
「そう言ってええわね」
「家族運もなかったしな」
酒好きの父親にあまり出来のよくない弟や妹達に囲まれていたという、結婚したくとも出来なかっただけでなく。
「ほんまな」
「幸せな人やなかったのね」
「そやな、しかしその音楽はな」
こちらはというと。
「かなりな」
「ええのよね」
「そうやねんな」
これがというのだ。
「自分等が聴いても」
「名曲ばかりね」
「ああ、そしてな」
施はこうも言った。
「あの人マカロニ好きやったらしいな」
「何か急にイタリアになったな」
中里はマカロニと聞いて述べた。
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