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邪教、引き継ぎます
第一章
12.茨の道
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背後に一つ、雪を踏む音が追いかけてきた。
 足を止め、振り返る。

「ん。殺しにでも来たの」
「そんな物騒な用件ではないわい」

 それは先ほどまで同じ場にいた、老アークデーモン・ヒースであった。

「それに、ワシではお嬢ちゃんに勝てぬだろうて。違うかの?」

 笑みを浮かべながら、そんなことを言う。

「『ワシは人を見る目がある』とか『伊達に歳は取ってないわい』とかの自慢?」
「それも違うわい」
「じゃあ何」
「心配なのじゃろ? あやつのことが」

 少女は、暗くなった曇天を見上げた。

「わたしは、ハーゴン討伐直前の、ロトの子孫三人組を見てる。あの決死の姿を」

 それに比べれば、少し変わってきたとはいっても、あの子の姿はなんと線が細く頼りないことか――少女は独り言のように言った。

「そう思うなら、お嬢ちゃんもフォルの元にいてやってはどうじゃ? あやつも心強いじゃろうて」
「……」

 白い少女は答えず、やがてくるりと向きを変えると老アークデーモンの前から消えていった。
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