第二幕その十一
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「その漁港でもね」
「お醤油はよく使われますか」
「そうなのよ」
「そういえばカンサスにいた時は」
ドロシーはその時のことをマリネを食べながら思い出しました。
「調味料もね」
「あまり、ですか」
「お塩とお酢、胡椒があって」
それでというのです。
「おソースが少々ね」
「それ位ですか」
「ええ、今みたいに色々あることはね」
「なかったですか」
「量も節約していたわ」
調味料を使うにしてもというのです。
「あの頃は」
「量もですか」
「だって私達は農家で」
「調味料は買うしかなかったですね」
「時々交易に来る人からね」
「周りは誰もいなくて」
「本当に大平原の中で暮らしていて」
カンサスのというのです。
「お家もなくてね」
「それで、ですか」
「当然お店もなかったから」
「何時でも変える状況じゃなかったんですね」
「そうなの」
これがというのです。
「カンサスにいた頃はね」
「それで、ですね」
「もうね」
それこそというのです。
「何もね」
「なかったんですね」
「だからね」
「調味料も節約してましたか」
「そうして使っていたわ」
「お塩やお酢や胡椒を」
「それでおソースが少しで」
それでというのです。
「本当にね」
「他はですね」
「何もなかったですか」
「オリーブオイルもレモン汁もで」
「お醤油は」
「全く」
恵梨香に蛸のカルパッチョを食べながら言いました。
「聞いたことがなかったわ」
「そうですか」
「それこそね、けれどね」
「それがですね」
「今はね」
それこそというのです。
「色々な調味料をね」
「味わえていますね」
「この通りね、おじさんとおばさんもね」
お二人もというのです。
「今はね」
「色々な調味料をですか」
「ふんだんに使えているわ」
「それは何よりですね」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「おじさんとおばさんは本当に昔ながらの生活を続けているから」
だからだというのです。
「やっぱり質素で」
「調味料もですか」
「あまり使ってないんじゃないかしら」
「種類も量も」
「今私達が食べているお料理の多くに胡椒が使われているわね」
こうも言ったドロシーでした。
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