第二部 1978年
原作キャラクター編
岐路 ベアトリクスとアイリスディーナ 運命の分かれ道
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、正直な所、私としては、あの子にシュタージの首にかける鈴に成って欲しいと思っていたのだが……」
顔色の一つも変えず聞いている男へ、アベールは自嘲気味に、
「フフフ、でも改めて考えてみたのだよ。
もう、あのクーデターを裏で仕掛けたKGB長官も、彼の息のかかったシュミットもいない。
それに今更、あの搾りかすみたいな連中が、国防上の脅威になるとは思えなくなった……」
「その上、あのBETAも、あのゼオライマーとか言うロボットが、地上から消してくれたからな」
「恐ろしい話だよ」
「あのゼオライマーというマシンがか」
「私が言いたいのは、ゼオライマーではない。
そのマシンを操縦する木原という人物が、恐ろしいのだ。
木原はソ連ばかりか、KGBを恨んでいる節がある。
その証拠に、ソ連の書記長とKGB長官を、その手で抹殺したのだよ……。
もし娘をシュタージに送り込んでみろ。
自然とKGBと深い関係の有るシュタージにも彼の目が行こう。
KGBの時の様に、手酷く壊滅させられるかもしれない。
下手をすれば、娘も巻き添えになるであろう」
アーベルが不安げに言うと、男はタバコをかざして、不敵に笑った。
「まあ、それもあるが……。
俺はシュタージだろうが、軍だろうがあぶない場所には置かない方がいい。
部隊配属の際は、通信隊や、輜重隊とか、衛士とは全く無関係な部署にしようと思ってる」
「何故だね。士官学校の成績もほぼ一番だったのだよ。
こう言っては何だが、ベアトリクスは、並の男より、立派な衛士になると自負している。
そんな惜しい事を……」
「仮に妊娠してたら、どうする」
「まさか」
「若い男女さ。人並みに愛をはぐくめば、何時妊娠してもおかしくない。
俺の方で、人事に手を突っ込んで、安全な部署に配属されるよう回して置くさ」
その言葉を聞いてアーベルは、この男に相談して良かったと、しみじみ思った。
自分やユルゲンの立場を危うくすることなく、念願の娘の安全を手に入れられたのだから。
「いつも済まない。だが娘が納得するか」
「アベール、それ以上は婿の仕事だな。俺等が言ったところで、聞く耳は持たんだろう」
「そうだな」
男の言葉に、アベールは他人事みたいに、声を上げて笑って見せた。
さて、その頃。ユルゲンと言えば、シュトラハヴィッツ将軍の屋敷にいた。
第一戦車軍団の主だった将校と下士官たちが、家族を連れてきて、シュトラハヴィッツの中将昇進を祝った。
丁度、カッツェと、BETA戦の今後を話し合いながら、飲んでいる時である。
彼の目の前に、明るい茶色の髪を綺麗に結い、琥珀色の瞳をした、色白で小柄な少女が来て、
「あ、あの……ウルスラ・シュトラハヴィッツです。ど、どう
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