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冥王来訪 補遺集
第二部 1978年
ソ連編
白海の船幽霊 ヴェリスクハイヴ攻略戦
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1905年の日露戦争以来、ロシアの水上艦艇部隊は大規模な海戦経験のなく、そのノウハウが失われたのも大きかった。

 艦砲射撃もものかは雲霞(うんか)のごとき大軍が一度に寄せたので、見る間に、BETAの死体の山は、数ヵ所に積まれた。
その死体の数も突撃してくる敵の数と等しく、二万余個という数である。
 しかし、その勢力の十分の一も撃ち倒すことはできなかった。
とどまることを知らぬBETAの大群……。
このままでは、アルハンゲリスクの中心街を抜かれる。
 そんな懸念が、全軍に広まり始めた時である。
突如として、海面から天空に向けて、黄色い光の柱が立ち上った。
白とも灰色ともとれる、一体の巨人が海中より浮き上がってきたのだ。

 赤軍は驚いた。
「何だ、あれは?」
 歴戦の兵たちすら、戦わぬうちから(ひる)み立って見えた。
С・Г・ゴルシコフ――30年間にわたり、クズネツォフ元帥の後任としてソ連海軍司令官を務めた人物――、В・А・チェクロフ――ソ連海軍の副提督。独ソ戦の最中北方艦隊に勤務する。史実ではすでに退役していた――など歴戦の海軍提督が、檣楼(しょうろう)の上に昇ってみると、なるほど、兵の怯むのも無理はない。
要塞級と同じ高さを誇る、巨人が駆け抜けていった。
その巨人は、その顔も体も真っ白で、まるで漆喰(しっくい)のごとき姿。


「この年まで、俺はまだ、こんな敵に出会ったことがない。どういうことになるのだろう」
「いや、私も初めてだ。ふしぎな事もあるものだ」

さすがの二将も怪しみおそれて、にわかに、策も作戦も下し得ずにいるうち、白い巨体から高々と見おろしたゼオライマーは、たちまち手の宝玉を光らして、まず前列の戦車級に突っ込み、両者乱れ合うと見るやさらに烈しく次元連結砲を乱打した。
 とたんに土煙を()き、宙を飛び、数万のBETAの中へ襲いかかった。
両手を振り、風を舞わし、血に飽かない姿を見せつける。
ゼオライマーは面白いほど勝ち抜いて、これまた、猛勇をふるって、BETAを殺しまわった。
 まもなく、ゼオライマーは後方の推進装置を噴き出しながら、天高く飛び上がる。
熾烈な光線級の砲火をものともせずに、広げていた両手を胸のほうに持ってくる。
両手につけられた宝玉が煌々と輝き、闇夜を照らし出す。
まさしく、一撃必殺のメイオウ攻撃だ。
 周囲にいた赤軍兵は、いよいよおどろいて、全軍われ先に、港の奥へなだれ打ってゆくと、轟然(ごうぜん)大地が炸ける。
烈火と爆煙に撥ね飛ばされたBETAは、土砂と共に宙天の塵となっていた。

 突如、天地を鳴り轟かせて、ゼオライマーが、ヴェリスクハイヴの頭上へ降ってきた。
光線級の熾烈な対空砲火を浴びても、退く事なく、突き進む無敵のスーパーロ
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