第二部 1978年
原作キャラクター編
憂懼 BNDのユルゲン調略工作
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。
1980年代にソ連を牽引した両人物は、その死まで個人情報は守られた。
CIAに至っても両人は「男寡」と勘違いするほどであった。
この世界の、連邦情報局も同様のミスを犯した。
『ユルゲン・ベルンハルトは、彼の母が不義の関係で出来た、議長の隠し子ではないのか……』
その様に勘違いしてしまったのだ。
混乱する職員の発言を纏める様に、Bfv局長が呟く。
「つまり、あの男も党政治局員としての進退窮まって、最前線に息子を送り出したと考えてよいであろうな」
その発言に、周囲が騒々しくなる。
しばらくして職員達が落ち着いたのを見届けた後、局長が口を開く。
「我が方に引き込んだ褐色の野獣こと、ハインツ・アスクマン少佐が死亡した事が確認された。
ソ連兵の手によって殺されたというから、KGBとの間で、何かがあったのは間違いない」
仏法僧の様に頭を丸刈りにした諜報員が、驚嘆の声を上げる。
「きょ、局長、真ですか……。あのアスクマン少佐が野垂死にしたとは……」
「我々以外にも、CIAやMI6との付き合いのある男だ……。
その線から漏れたとしてもおかしくはあるまい」
副局長は、アスクマン少佐の死を嘆いた。
「我々はシュタージファイルの入手の為に……10万マルクの資金をあの男に貢いだ。
これが連邦議会に持ち込まれもすれば……」
「一大スキャンダルですな……」
1978年当時、1西ドイツ・マルクは、115円である。
当時の相場で、1150万円相当の金がBNDからシュタージ少佐の手に渡ったのだ。
局長は、再び混乱し始める職員を一喝する。
「諸君、狼狽えるな。
どちらにせよ、マスメディアの連中は莫大な金を準備して、我等が元に乗り込んでくるのは必須。
放置すれば、何れはこの身の上に恐ろしい災厄が降りかかって来よう」
先程、局長に尋ねた丸刈りの男が返答する。
「起死回生の策としてゼオライマーを討つというのはどうでしょうか」
会議の冒頭から奥に座り、一言も発しなかった老人が声を上げる。
「木原マサキを消せ……、後腐れなく始末するのだ」
黄色味を帯びた白髪から類推するに、年の頃は80過ぎにもなろうかと言う、深い皴を顔に刻まれた男は、窪んだ眼を左右に動かす。
「アヤツはたった一人で米ソを手玉に取る……手強い相手じゃ。何としても葬り去らねばならん」
対ソで結束している西側陣営最前線の一つであった西ドイツも、当初の目的を忘れ、月面や火星に居るBETAよりも、木原マサキという人物、彼が駆るゼオライマーを恐れる。
地の底より幾千万と湧いて来るBETAの血煙を浴びながら、難攻不落のハイヴを正面から攻め掛け、
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