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冥王来訪
第三部 1979年
孤独な戦い
姿を現す闇の主 その2
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人部隊などで編成されていた。
 シーク兵とは、インドの地域宗教、シーク教を信仰する人々から選抜された兵士である。
シーク教の教義により、軍帽に代わって、軍服と同色のターバンを巻いていた。
 また特例として、非武装の場合でもサーベルを履くことを許されていた。
シーク教徒にとって、サーベルは護符と同じだからである。
 グルカ兵は、ネパール出身のグルカ人傭兵を主体し、その精強さは全世界に知られていた。
 グルカ人の多くは、160センチにも満たない小柄であった。
だが、ネパールの山岳民族であるため、どんな地形でも俊敏に動けた。 
部隊の隊員は、深緑のスラウチハットを被り、腰にはククリナイフという蛮刀を漏れなく帯びていた。
 シーク兵とグルカ兵の装備は、一般のインド軍とは違った。
精鋭部隊ということで、インド軍で広く使われているリー・エンフィールド小銃ではなく、スターリング短機関銃(サブマシンガン)を装備。
一般兵にもかかわらず、将校と同じようにブローニング拳銃を帯びていた。

 しかし、時すでに遅く。
ヴィハマナフシ島の、御剣雷電以下日本外交団は、恐るべき毒牙に掛かろうとしていた。
「この期に及んで、どいつもこいつも……だれか頼りになるやつはいないのか!」
 滅多に感情の起伏を出さない、御剣雷電が取り乱しているのだ。
主従関係にある紅蓮は、御剣の心を愁眉を開こうとした。
「近衛第19警備小隊を信頼ください。
我らは、殿下に赤心の誠を捧げております」 
 御剣は、馬鹿なと、腹が立った。
所在なくて仕方がなかった程だ、と怒鳴りたかった。
けれど、いかに主人足れども、彼らの善意な考え方までいちいち是正することもできない。
「忠誠は、戦術にはならん!」
 周囲のものたちは、おろおろした。
いかに一外交使節団長でも、将軍の大叔父である。
もし御剣の激怒にふれてはと、細心の注意を払った。
「雷電様!木原が見えられました」
 そう報告してくる神野の表情は、ぎょっとして、仮面のように強張っていた。
御剣のきらつく眼が、無遠慮に護衛の二人を撫でた。
彼奴(あやつ)もな……今の所、売込みほど力を出しておらん」
「左様、いまいち期待通りとは申せません」
雷電はさすがに今の言葉に、むッとしたらしい。
「このたわけが!偉そうな口を叩ける義理か」
「はっ、わたしは持てる力を最大限に……」
「それには及ばん」
 御剣はそう答えると、眉間の皴が立つようなするどい顔に変る。
そして、消え入るがごとく、マサキのいる外の方に向かった。

 
 戦術機の襲撃は、台風のようだった。
たちまち、クルンバ・モルディブのロッジは、火焔に包まれ、煙に満たされた。
 そして数分間の後、炎の線に貫かれた煙をとおして、非難をし始めた従業
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