第三部 1979年
孤独な戦い
姿を現す闇の主 その2
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
トランチャに、AIM-9サイドワインダーを計12基配備していた。
また両肩から吊ってある2門のガトリング砲も、仰角ギリギリに上空に向けた。
まもなくすると、急いで操縦された二個の砲は、未確認の戦術機が飛んできた南西の方角に向かって火蓋を切った。
二門の砲が未確認機に打ちかかったと同時に、ファントムが持つ二門の突撃砲は水上に据えられて、沖合に停泊する不審な船を攻撃したのである。
四個の砲門は互いに恐ろしく反響をかわした。
長く沈黙を守っていた敵機は、突撃砲の火蓋を切った。
その上、七、八回の一斉射撃は、クルンバ・モルディブに向かって相次いで行なわれた。
激烈な対空砲火をものともせずに、呪うべき存在は、マサキ達の上空で盛んに乱舞した。
それと呼応して殷々とした敵弾は、轟音となって、マサキたちの気を違わせずにはおかない。
そういった具合で、突撃砲は、凶暴の咆哮を続けていた。
まもなく、ファントムに搭載されたスパローミサイル24基が、一斉に火を噴く。
ここを先途と砲弾が送られている。
スパローミサイルから発信される電波を察知した4機の敵は、回避運動を取った。
結果として、ファントムからの地対空ミサイルは命中しなかった。
敵機は去った。
命中しなかったとはいえ、中距離空対空ミサイルのスパローを恐れての事らしい。
とにかく、マサキは迎撃に夢中だった。
早く敵機を撃墜して、安全を確保せねばならない、という考えの他はなかった。
指呼の間にあった、グレートゼオライマーとゼオライマーの二機の存在は忘れるほどであった。
――同時刻。
モルディブの警備を任された駐留インド軍の隊長であるラダビノット少佐は、焦っていた。
5時間以上たっても、インド本国から連絡がない。
しかし、依然としてマレ島の街からは、濃霧のような煙が立ち上り、市街の大半をおおい隠している。
モルディブ大統領府の相談はない。
しかし待っている時間的猶予はない。
刻々と事態は動き、マレ国際空港のあたりまで、砲声も聞こえてくる。
独断で動けば、軍紀違反で軍法会議に掛けられるだろう。
いまやラダビノット少佐の心は、矢のように急がれていた。
1時間遅れれば、1時間味方の不利である。
それだけ敵軍は強化され、反乱軍の横奪した政府を認めることにもなる
事態を重く見た彼は、駐留インド軍の警備大隊を使って、モルディブの騒擾事件に介入することにした。
「精鋭を誇るシーク兵とグルカ兵を選抜した部隊を編成したい」
モルディブ駐留インド軍の部隊構成は、インドの国情をあらわすように複雑だった。
ラダビノット少佐が大隊長を兼務する、ヒンズー教徒を主体としたベンガル人の警備大隊。
その他に、シーク教徒部隊、グルカ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ