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金木犀の許嫁
第四話 同居の準備その七

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「真田家もそうしていたしな」
「そうなのね」
「そうだぞ、あと真田家はご当主と呼ぶのがな」
 このことがというのだ。
「普通だぞ」
「昔のことから」
「そうだ」
 まさにというのだ。
「そこはもうな」
「決まってることなのね」
「十勇士の家はな」
「それが分家でも」
「だからといって何でもないがな」
 当主と呼んでもというのだ。
「別にな」
「それでもお呼びするのね」
「そうだ、ただご当主いがいはさん付けでいいからな」
「普通でいいのね」
「別にな」
 真昼に話したが夜空にも聞かせていた。
「いいんだ」
「そうなのね」
「ああ、ただな」
「ただ?」
「若しかしたらその真田家の人も同居するか」
「そうかも知れないわ」
「その時は仲よくな」
 こう娘達に告げた。
「いいな」
「仲よくなの」
「お仕えじゃないのね」
「お仕えする時代じゃないだろ」
 父は娘達に笑って返した。
「維新からな」
「廃藩置県もあったし」
「それで四民平等にもなったし」
「それでなのね」
「ご当主の方はそうお呼びしても」
「ああ、それに真田家の人達も十勇士の家の人達もな」 
 分家である自分達も含めてとだ、父は娘達に話した。明るい口調だが真面目に話をしていて娘達も真面目に聞いている。
「同じ八条家の社員だろ」
「企業は違っても」
「それは同じね」
「同じ会社だと真田家の人が部下になる可能性もあるしな」
「十勇士のお家のどなかたと」
「その可能性もあるのね」
「そうした話あったかどうかは知らないけれどな」
 実際にはというのだ。
「それでもな」
「そうした可能性もあるし」
「主従ではないのね」
「もうな、だからな」
 それ故にという口調での言葉だった。
「そうしなくていい、けれどな」
「仲よくね」
「そうしていけばいいのね」
「そうだ、いいな」 
 娘達に笑顔で話した。
「あちらの人も悪い人じゃないみたいだしな」
「それでじゃあなのね」
「その人が来られても」
「仲よくな、そしてな」
「五人で暮らしていくのね」
「その時は」
「そうするんだぞ、そしてな」
 娘達にこうも言った。
「元気でやっていくんだぞ」
「健康には気をつけてね」
 母も言ってきた。
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