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ドリトル先生と不思議な自衛官
第二幕その五

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「こちらの船が世界中で行き来していたんだよ」
「戦争でも使われていたね」
「そうだったね」
「かつては」
「トラファルガーの海戦でもね」
 イギリス人にとっては忘れられないこの戦いでもというのです。
「帆船だったね」
「そうそう、帆を一杯張って」
「それで三列縦隊で進んでね」
「決戦を挑んだんだよね」
「そうだよ、帆船の動かし方は独特で」
 そうであってというのです。
「どう動かしていくか」
「それがだよね」
「重要なことで」
「果たしてどう動かすか」
「それが問題だったね」
「風を見て漕いでね」 
 そうしたことをしてというのです。
「進んでいたよ、そしてロープがね」
「重要だよね」
「今もだけれど」
「帆船はロープをどう使うか」
「それが問題だったね」
「そうだよ、ロープはね」 
 まさにというのです。
「船の象徴の一つだったよ」
「帆や錨と並んで」
「そうだったね」
「ロープなくして船じゃない」
「当時はそうだったね」
「今もね、例えば嵐に遭って」
 そうなってというのです。
「大砲が揺れる船の中で動くと」
「そうそう、大暴れするみたいになって」
「それでだよね」
「船員さん達を跳ね飛ばして轢いて」
「最後は船から飛び出て大穴を空ける」
「とんでもないことになったね」
「嵐の九十三年にあったね」
 ビクトル=ユゴーのこの小説にというのです。
「そうなったら大変なことになるから」
「それでだね」
「大砲はすぐにロープで縛って動かない様にする」
「そうしないと駄目だったね」
「帆船の時は」
「今は砲塔になっていて」
 大砲はというのです。
「嵐でもびくともしないけれどね」
「かつてはそうで」
「そうした時もロープだったね」
「ロープをどう使うか」
「それが大事だったね」
「そうだったよ、それで軍服の袖のモールはね」
 これはといいますと。
「実はロープなんだよ」
「へえ、そうなんだ」
「あれロープだったんだ」
「あれで階級を表すけれど」
「そうだったのね」
「そう、それでね」
 その為にというのです。
「軍服の袖に巻いてね」
「階級を表したんだ」
「そうだったんだ」
「かつては」
「それがそのまま軍服に備わったのが」
 実際に巻かずにです。
「あのモールなんだ」
「成程ね」
「そういえばロープを光らせた色だね」
「巻いてるし」
「見ればわかるね」
「そしてね」
 さらにお話する先生でした。
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