第一章
11.神託
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クデーモンも口を開いた。
「まだ名を名乗ってなかったな。ワシはヒース。この若いの……じゃのうて今は族長か。ダスクという名じゃ。では、ワシらの種族をよろしく頼むぞい」
「ヒース様に、ダスク様ですね。こちらこそよろしくお願いします」
「様はいらねぇだろ……」
「あ、すみません。では今後は『さん』付けしますね。今後ともよろしく――」
「ちょっと待った! もう一種族追加だ!」
やや上方から来た声に、一同そちらを向いた。
フォルと若アークデーモン・ダスクの二人は、聞き覚えのある声だった。
登場の仕方が、ローレシア王と遭遇したときとほとんど同じだった。
大きながれきの上に立っていたのは、褐色の少女。
ボサボサ気味な赤髪に、緑色の服。左前腕には木の盾を装着している。背中に背負ってるのは、彼女の種族が扱いを得意としている斧。
ローレシア王・ロスと戦ったときに出会った、なぜか仮面を着けていないバーサーカーである。
「よっ、と」
やはりあのときと同じように、フォルの背よりも高いがれきの上から、バネのきいたジャンプで地面に降りてきた。
「魔術師! お前、生きてたんだな! すぐぶっ殺されたんじゃないかと心配――!?」
フォルが少女の手を取ると、先ほどの若アークデーモンのように言葉がとまった。
今度はローレシア王に遭ったときのように、手を払われることはなかった。
「あなたこそ、ご無事で何よりです」
「……に、人間の手って、割とあったかいんだな……。まあ、あのときは、世話になったな」
彼女も少しそっぽを向いたが、すぐに直った。
「それより! オレらバーサーカーの一族もお前に乗っからせろ。んでオレはここでお前に使われてやる。この前の礼だ」
「あなたは頭領様になる予定のおかたでは。こちらに居続けて大丈夫なのですか?」
「勝手に決めるなって。オレは元頭領の娘に生まれただけで、元々そんな柄じゃねえよ。他のやつに任せてきた」
「そ、そうですか……問題なければよいのですが」
「問題なんてない。オレの名はシェーラ。よろしくな」
「シェーラ様ですね。私はフォルと申します。こちらこそよろしくお願いします」
「様はいらねーよ!」
「すみません」
さっきと同じじゃぞ、と部下第一号を称した老アークデーモンが笑った。
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