第一章
11.神託
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」
「それは無理です。私があとを継ぐなど口にすることすらおこがましいです。それに、元の生活を取り戻したいというのは、あくまで私の夢であり、わがままです。黙ってやり続けるわけにもいかないですから相談はさせていただこうかとは思っていましたが、皆様にご迷惑をかけようとまでは――」
「そのおぬしの夢に乗っからせてほしい。そう言うておるのじゃよ」
「し、しかし」
一つ、老アークデーモンは咳払いをした。
「あまり年寄りにみじめなことを言わすでないぞ。ワシらはこのままただ生きていても未来はない。神殿の生き残りであるおぬしが立って、このロンダルキアをまとめようとしてくれるなら、それに賭けさせてほしいという思いがあるのじゃ。ワシはおぬしにその器があるやもしれんと見ておる」
「えええ……」
「おぬしも頭数がいたほうがよいじゃろ? ワシらがつくのは助かるのではないかの」
「も、もちろんそれは助かりますが……。それは本当に皆様ご納得ということなのでしょうか?」
「ご納得もご納得じゃよ。ホレ」
老アークデーモンは、顔を横に向ける。
視線の先、やや遠くには、フォルの背丈の二倍近くはありそうな大きながれきがあった。
その陰から、紫の肌と赤い毛が少しだけ見える。
「おい、丸わかりじゃ。いつまでそこにコソコソ隠れとるんじゃい」
その声に、スーッと、顔、体、そして申し訳なさそうに畳まれた翼が現れた。
そして右手で頬を掻きながら、一人の若いアークデーモンがトボトボとやってきた。先日フォルがはるか遠くに飛ばして助けた彼である。
「いや、まー、なんだ、その。この前は、悪か――っ!?」
歯切れの悪い言葉が途中で止まる。
フォルが彼の左手を、両手で握ったからだった。
「ご無事で何よりです。うれしいです」
「……」
目を合わせられない若アークデーモンだったが、代わりに、固く握られたフォルの両手をじっと見ていた。
「お前の手は、小せえな。けど、あったけぇ」
そうポツリとつぶやき、そこで初めてフォルの仮面を直視した。
「まあ、なんだ。人間を信用しているわけではないが、お前のことは信じる」
「あ、ありがとうございます」
今度はフォルがすまなそうにうつむく。
「お前はもう少し堂々としろ! 調子が狂う!」
「うわっ」
「あっ、悪ぃ。こないだのお前はこんなに軽くなかった気がするが」
肩を叩かれてそのまま地面に転がったフォルを、慌てて若アークデーモンが引き上げる。
「とりあえずだ。さっき元代行も言っていたと思うが、お前に賭けることに決めた。俺はここと山の本拠地を行ったり来たりしながら、お前を手伝うつもりだ。嫌だとは言わさんぞ」
そこで、老アー
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