第一章
11.神託
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じゃろうて。だからワシがやるぞ」
また次の大きながれきめがけて歩き出す彼の姿を見て、フォルは慌てて追いかける。
「いやいやいや、こんな作業を代行様にやらせるわけにはいきませんって」
「適材適所じゃよ。ハーゴン殿はちゃーんとその仕事に一番適した者を選んでやらせたと聞くぞ。おぬしもそれを見ておるじゃろ? 近くにいたわけじゃからな」
「近くにはいましたが、私はハーゴン様ではありません……といいますか、しゃべりかたが前と変わっていませんか?」
「こっちが素じゃ。あのときは族長代行だったからちゃんとしたしゃべり方してただけじゃよ。今もそうしてたら肩がこってかなわんわい」
肩をぐるぐると回す老アークデーモン。
『族長代行だった』。一拍遅れて、言葉の意味にフォルは気づいた。
「代行だった、って、もしかして……」
「そのもしかしてじゃよ? 族長代行は辞めてきたわい。今はヒラじゃ。いいタイミングじゃったし、空位だった族長はおぬしに救われた若いのに任せてきたぞよ」
「な、なぜですか!?」
「見てのとおりじゃがの? おぬしの直属の部下になるためじゃ」
「ええっ――!?」
仮面が浮きそうなほど驚いたフォルは、慌てて両手を大きく動かした。
「それはいけませんって」
「いけなくないわい」
「いやいや、私は大神殿で一番身分が低いのですよ。あってはならぬことです」
「今は一番身分が高いじゃろ。なんせ生き残りはおぬししかいないわけだからの」
「たしかに一人ですが、そういう問題ではないと申しますか」
「ん、ワシのような老いぼれは不要ということかのお?」
「い、いえ。そんな失礼なことは考えてもいません」
「よし。ではよいな。ワシは直属の部下第一号として今後おぬしのもとにおる。そして我々の部族全体についても、おぬしにいつでも協力するということにするからの。明日からがれきの片づけも手伝わせるわい。その後も神殿再建のために好きなだけ使うといい」
「……」
フォルの足が止まった。
老アークデーモンの足も止まる。
「なんじゃ? 不満か? おぬし、神殿を再建するつもりなんじゃろ」
「はい。再建といいますか、頭の中で跡地に礼拝堂を作ろうと思っていましたが……なぜそれが?」
「がれきを片付けているということは、そういうことじゃろうて。神殿を再建し、教団を再建する。その気持ちが固まったのじゃろ?」
少々行きすぎた話に、フォルはまた慌てる。
「教団の再建って……そんな大きなことまでは考えていません。しかし、やはり私は今もハーゴン様の教団の信者です。このロンダルキアで、元の生活を、信者としてあるべき生活を取り戻したいと考えています」
「同じことじゃよ。そうしたいなら、おぬしがハーゴン殿のあとを継ぐしかない
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