第八十五部第五章 北京宣言その五十四
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「討ち入りも防げたかも知れない」
「赤穂浪士のそれも」
「そうなったかも知れないですか」
「油断しなかったなら」
「そうだったかもな、もっとも実際は違ったそうだが」
キロモトは真実も話した。
「吉良側は常に警戒していてだ」
「用心していましたか」
「そうでしたか」
「物語ではともかく」
「事実ではですね」
「武器を用意していた」
吉良邸の中にだ。」
「そして吉良自身もな」
「警戒していた」
「討ち入りが来ると思っていた」
「そうだったのですね」
「身構えていてそして逃げずにだ」
物語では倉庫の中に隠れていた、家の者達が戦っている中で自分だけそうしていたということになっている。
「戦った、だがな」
「それでもですね」
「討ち取られた」
「そうなったのですね」
「事実はな、彼は卑怯でも臆病でもなかった」
これが真実だったというのだ。
「そして浅野内匠頭にしたということもな」
「実はなかった」
「そうだったのですね」
「その実は」
「そうでしたか」
「烏帽子代紋の話もだ」
有名なこれもというのだ。
「既に教えていない筈がない」
「その儀礼の担当として」
「そうしていない筈がないですね」
「そうですね」
「そうだったし浅野側も小判も贈っていたしだ」
それにというのだ。
「これは賄賂ではなく付け届けだ」
「だから問題なく」
「浅野内匠頭も忘れないですね」
「忘れる筈がないですね」
「そちらも」
「付け届けは常識だ」
当時の日本ではというのだ。
「まさにな」
「左様ですね」
「それで、ですね」
「浅野家も忘れず」
「吉良側もですね」
「意地悪をするか」
物語にある様にというのだ。
「果たして」
「それもですね」
「烏帽子代紋の様なことも」
「その発端もないので」
「あるかというと」
「やはりないとな」
その様にというのだ。
「考えることが普通だな」
「左様ですね」
「普通に考えますと」
「それはないですね」
「そもそも」
「そしてこれは賄賂となっているが」
物語の中ではだ、吉良が浅野に賄賂を無心して清廉潔白な浅野がそれを断ったということになっていることが多い。
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