第百十六話 半ズボンの有り難さその六
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「出て行ってね」
「他の国で暮らせばいいわね」
「何で日本にいるのか」
「わからないわね」
「正直言ってね」
首をかしげさせながら言うのだった。
「もうね」
「大嫌いな国で大嫌いな人達に囲まれて」
「いい筈ないわよね」
「けれどね」
「それで何で日本にいるか」
「そこがわからないわね」
こう話した、そしてだった。
ここでだ、理虹は二人に首を傾げさせて言った。
「まあ変な人いるから」
「世の中には」
「日本にもなのね」
「何か昔はね」
こう前置きして話すのだった。
「日本を批判する、それがね」
「いいって言われてたの」
「そうだったの」
「知識人がね、何でも批判精神で」
「日本を批判する」
「悪く言うことがいいと言われていたので」
「何か体制に対して」
国家権力にというのだ、二次大戦終結直後からオウム真理教の報道までずっと日本を支配してきた考えだった。
「批判し反対し嫌うことが正しくて」
「日本を悪く言うのもいい」
「そう言われてたのね」
「そうなの、ただね」
理虹は難しい顔で話した。
「オウム真理教がテロやって」
「ああ、サリン撒いて」
「拉致してね」
「弁護士さんの一家皆殺しにして」
「ポアとかした」
「そんな連中を権力に反対するから」
国家権力であることは言うまでもない。
「いいって言った人も出たしね」
「じゃああんた殺されてみる?」
タイの娘はそう言った人物に対してこれ以上はないまでの蔑みを感じてそれを目にも出して語った。
「一度ね」
「権力に反対するならテロしていいなら」
ノルウェーの娘も同じ目で言う。
「もうね」
「そうでしょ、自分もね」
「無差別テロとか拉致に遭ってね」
「殺されてもいいってことになるわね」
「そうよね」
「もうこんな考えになったら」
理虹はそれこそと言った。
「私は殺された人の痛みをわからないわかろうともしないぞってね」
「言ってるのと同じね」
「まさに人でなしね」
「これを政府がやったら言うのよ」
それこそ二次大戦中に日本軍が行ったと言われた調べると根拠が出鱈目な案件までだ、明らかに事実でないことまで含めて批判してきたのだ。
「逆にね」
「いや、誰もテロしたら駄目だし」
「殺人だってね」
「殺された遺族の人どうなるのよ」
「悲しんで苦しんでいるのに」
「だからそうした悲しみや苦しみもね」
そうした感情に対してもというのだ。
「一切ね」
「考えを向けないで」
「そう言うのね」
「こういうのを馬鹿って言うのよね」
理虹は嫌悪に満ちた顔で話した。
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