第百十六話 半ズボンの有り難さその四
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「どうしてもね」
「寒いとそうなるのね」
「ええ、お米が年に三回も採れたら」
米は欧州のメインの主食である麦よりも収穫量が遥かに多いのだ、それが年に三回ともなるとかなりのことだ。
「もう夢よ」
「そこまで凄いのね」
「そうよ」
まさにというのだ。
「本当にね」
「そういえばバイキングの人達も」
理虹はノルウェーから欧州各地を席巻した彼等のことを思い出した。
「食べられないから」
「そう、だからね」
それ故にというのだ。
「海があるから」
「バイキングに出たのね」
「漁もして」
そしてというのだ。
「商売にも出たのよ」
「商売する方が多かったのね、バイキングって」
「だって戦ったらね」
そうしたらというと。
「死ぬ恐れもあるでしょ」
「それは絶対にあるわね」
「ただでさえ北の荒れ狂う海に出て」
「命賭けなのに」
「そこで戦いなんてね」
「そうはしないわね」
「そうよ、確かに暴れ回ったけれどね」
このことは事実だがというのだ。
「ギリシア、当時はビザンツ帝国ね」
「あそこまで行ったのね」
「海だけじゃなくて川も伝ってね」
そうして欧州中を動き回っていたのだ、バイキングの活動範囲はまさに欧州全域であり彼等が残した痕跡もまた多いのだ。
「あっちまで行って」
「ああ、それでよね」
タイの娘が言ってきた。
「あんた達親衛隊になったのよね」
「皇帝さんのね」
「そうよね」
「ワリアギ親衛隊って言って」
ビザンツ帝国の精鋭部隊であったのだ。
「鎖帷子と斧で武装していたのよ」
「そうだったわね」
「けれど戦うことはね」
「実は少なかったわね」
「それでバイキングに出たことも」
このこともというのだ。
「食べものが少なくて」
「暮らしにくかったから」
「だからよ」
「そういうことね」
「いや、お米があって」
収穫量の多いこの作物がというのだ。
「しかも年三回採れるって」
「凄いことね」
「そりゃ人口も多くなるわ」
こうタイの娘に言うのだった。
「それだけです素晴らしいわよ」
「そうなのね」
「ええ、ジャガイモが入るまで」
この作物がというのだ。
「大変だったのよ」
「ああ、ジャガイモってね」
理虹はジャガイモと聞いてそれはという顔になって言った。
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