第八十五部第五章 北京宣言その五十二
[8]前話 [2]次話
「惚けた振り、馬鹿な振りをしている者もだ」
「警戒する」
「そうでなくてはならないですね」
「愚かに見えても」
「それでもですね」
「その実はなぞだ」
愚かに見えてもというのだ。
「よくあることだ」
「特に政治においては」
「全く以てそうですね」
「相手を騙して自分のペースに持って行く」
「まさに常ですね」
「そうした御仁が各国政府にいれば」
それならというのだ。
「厄介だ、そしてだ」
「連合にはですね」
「そうした人物が多いですね」
「伝統的に」
「馬鹿だと相手に思わせば」
それならというのだ。
「相手は油断する、そしてだ」
「そこに付け込む」
「そうして攻めて利益を得る」
「そうしますね」
「それでやり方の一つだ。ただだ」
キロモトは冷静にこうも言った。
「このやり方も実は弱点がある」
「一度それが芝居だとわかると」
「もう二度目は通用しないですね」
「誰も騙されないです」
「そして油断もしません」
「誰かにそうすると誰もがだ」
それを見てというのだ。
「実は馬鹿ではないと思う」
「それで、ですね」
「次からは実は切れ者とわかって対する」
「そうしますね」
「道化師は常に道化に徹してこそ道化師だ」
冷静な言葉であった、今度も。
「素顔を出してはだ」
「道化師にはならないですね」
「左様ですね」
「若しその化粧を見せれば」
「それで道化師ではなくなりますね」
「その素顔が愛国心に満ちた賢者でも私利私欲のみの俗物でもだ」
どちらでもというのだ。
「素顔を出すとな」
「道化師でない」
「もう誰も道化師ではない」
「そう思ってですね」
「手を打ちますね」
「そうなる、このやり方は確かに効果があるが」
自分を愚かだったり無害だったり与しやすいと思わせる策はというのだ。
「やはりここぞという時はな」
「素顔を見せないといけないですね」
「そして動かないとならないですね」
「どうしても」
「そして素顔を見せて」
「会心の利益を得た後は」
「二度目はない」
断じてというのだ。
「そうだ、だから正体がわかっている者はいい」
「既に、ですね」
「もう顔を出している者はですね」
「そうした者はですね」
「いい、しかしだ」
それでもというのだ。
「今各国でそうした振りをしている」
「評価が低い」
「周りから愚かや無害と思われている」
「そうした人物こそですね」
「警戒すべきだ、だが既に何度もここぞという時に失態を犯してだ」
そうしてというのだ。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ