暁 〜小説投稿サイト〜
おぢばにおかえり
第七十九話 残さないことその八

[8]前話 [2]次話
「そうじゃないですか?」
「そう言うの?」
「だってお金ってインフレとかなったらすぐに全部紙屑じゃないですか」
「ジンバブエとか?」
「そうなるじゃないですか」
「それはね」
 言われてみればです。
「私も聞いてるわ」
「一次大戦の後のドイツとか」
「世界恐慌でね」
 歴史の授業で言われました。
「リアカー山積みで卵一個とか」
「そうなるものですから」
 だからだというのです。
「必要なだけあればいいです」
「それはそうね」
 私も頷きました。
「確かにね」
「今の安定した世の中だからいいですが」
「不安定になるとね」
「すぐに価値がなくなりますから」
 そうしたものだからだというのです。
「僕はそうした考えです」
「しっかり考えてるのね」
「欲しいことは欲しいですけれどね」 
 それでもというのです。
「あくまで、です」
「必要なだけね」
「それだけあればいいです、親戚にやけにこだわる人いますが」
 ここでまた新一君は眉を顰めさせました、そうして私に言いました。
「碌でもない長男育てた」
「そのどうしようもないお祖母さん?」
「僕のお祖母ちゃんは三人ですからね」
 天下茶屋のお二人を入れてというのです。
「悪いんねんの塊の」
「その人欲も深いのね」
「そうなんです、いいところなくて」
「ないの」
「全く、お金にも五月蠅くて」
「そうなのね」
「自分はやけに欲しがって」
 そうした人でというのです。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ