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博士の挑戦状
第百十六話

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 石碑を見てだ、タロとライゾウも神妙な顔になっていた、そうしてそれぞれ顔を見合わせて話をした。
「ちょっとね」
「思うところあるよな」
「戦争の犠牲ってね」
「人だけじゃないんだな」
「こうした場所の生きものも」
「魏勢になるんだな」
「戦争は戦う者同士がやればよい」
 博士は言った。
「しかしじゃ」
「こうしてだね」
「巻き込むのはよくないよな」
「まして関係のない生きものなんて」
「動物園のな」
「そうじゃ、これは東京でもあった」
 そちらでもというのだ。
「象が有名じゃな」
「あのお話ですね」
 小田切君がまた応えた。
「教科書にも出ている」
「ああしたことはな」
「博士としてはですね」
「やはりな」
「あってはならないとお考えですね」
「わしの主義主張ではないからな」
 美学に反するというのだ。
「美学にないことはじゃ」
「博士はされないですね」
「だからじゃ」
 その為にというのだ。
「残念に思う」
「そういうことですね」
「うむ、ここに来る度にじゃ」
「この天王寺動物園に」
「石碑の前にも来ておる」
 先程の様にというのだ。
「そうしておる」
「そうなんですね」
「そしてじゃ」
 博士はさらに話した。
「戦争があってもな」
「こうしたことが二度と起こらない」
「そうなることをじゃ」
「望まれますか」
「強くな」
 こう言うのだった。
「どうしてもな」
「博士にとってはですね」
「美学に反するからな」
「よくないですか」
「無駄に命を失ってはならん」 
 その辺りのならず者は殺してもと言う博士だった、そして動物園を出るとたまたま街を歩いていた半グレ三人をビームガンで灰にしたのだった。


第百十六話   完


                     2023・11・18
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