五、 Eureka(エウレカ)
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―Eureka!
と、感嘆してゐることから、闇尾超は存在の秘密の何かを垣間見たことだらう。さうぢゃなきゃ、闇尾超は死んでも死にきれなかった筈だ。しかし、私には闇尾超の霊魂が未だに此の世を彷徨ってゐて更に思索に思索を重ね、一度垣間見た存在の秘密をそれこそ合理的に構築して見せ、不合理な世界、若しくは闇尾超の望みであった此の不合理な宇宙をぎょっといはせ、宇宙?覆のその端緒を見出さうと躍起になってゐるのかもしれぬ。
ともかく、闇尾超は何かを見出したことは確かだ。存在然としてゐながらその実、霧がかかったかのやうに曖昧模糊としてしか存在できぬ存在物は、その尻尾を闇尾超に?まれ、仮象の国に安住してゐた物自体を引っ張り出して宇宙に蟻の一穴ではないが穴を開けたのかもしれぬ。だが、宇宙は、その時、ニヤリを笑ってその穴を闇尾超当人で栓をしてあれよといふ間に塞いでしまったやもしれぬのだ。その穴を仮に《ゼロの穴》と名付けてみれば、そのゼロの穴の栓になった闇尾超は例えば虚数が蠢く虚=世界を覗き込んだのであらうか。その宇宙の穴から見えた世界は一体全体どんな風景だったのだらうか。思ふに闇尾超が見るもの全ては、闇尾超の視線が向いた途端に存在は皆恥ずかしがり、闇に身を隠してしまったのだらうか。私は虚数の世界は闇の中だと思ってゐるのだが、闇に対した闇尾超は果たして何を見出したのだらうか。
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