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Fate/WizarDragonknight
教授で子持ちのマスター
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答えた。

「前の予定が少し早く終わったので、足を急がせてもらったのだが……困るかね?」

 ドアから入って来たのは、穏やかな笑みを絶やさない壮年の人物。ガッチリとした肉体は、ハルトやコウスケの筋肉量よりを大きく上回り、綺麗に整えられた口ひげと顔の彫りは、彼が長年多くの経験を身に付けてきたことを物語る。
 最大の特徴は、右目を覆う黒い眼帯。残る左目のみで、ハルトとコウスケの二人を一瞥する。

「おお、失礼。どうやら学生の相手をしているところだったかな?」
「いえ。彼は学生ではありません。今後私の手伝いをしていただく子ですよ」
「今後? 手伝い?」

 そんな話、聞いていないと訴えたハルト。だが教授、悪びれなくハルトへ視線を移した。

「ええ。同じ参加者の私のことが気になるのでしょう? ならば、色々と知ってもらえればと」
「これ、体のいい手伝い確定ってことじゃ……」
「おやおや。蒼井さんという私の護衛を、君のお仲間に加えてあげているのですから、私の手伝いもして頂かないと」
「……マジか……」

 唖然とするハルト。その前を横切り、壮年の男性がハルトへほほ笑みかけた。

「はっはっは。すまないね。アルバイトの面接途中に邪魔をしてしまって」
「いいえ」
「あ! おじさんこんにちは!」

 幼い子は強い。
 そんなことを想わせるように、結梨が壮年の男性へ駆け寄った。
 壮年の男性は笑みを浮かべ、結梨の頭を撫でる。

「久しぶりだね。結梨。これからまた、お父さんを借りるよ」
「うん! おじさん、今日もご飯食べていく?」
「はっはっは。いや、済まない。この後また仕事の予定があってね。ずっとはいられないんだ」

 結梨とやりとりする男性。
 そんな彼を見ている間に、念願の講義ノートを手に入れたコウスケが、えりかと戻って来た。

「よかったじゃねえかハルト。あの教授、敵にはならねえんだろ?」
「そうだね。えりかちゃんも、戦いを止めるためにこれからよろしく」
「はい!」
「教授、今日はありがとうございました。自分たちは、お先に失礼します」
「ええ。ああ、ハルトさん。呼び出しはしますので、これからどうぞよろしく」
「うっ……」

 これから仕事が増えるのか、とハルトは少しだけ項垂れた。
 できれば、少しでも手心を、と言おうとしたところで、ハルトは口を噤んだ。
 じっとこちらを見つめる、壮年の男性。
 見られているだけ。だが、先ほどとは違い、据わった目は決して笑っていない。繰り返し述べるが、動作としてはただ見られているだけ。

「……」

 ハルトは思わず、壮年の男性を見返す。
 見られているだけなのに。
 それだけなのに、何故。
 何故、ただの人間(・・・・・)にファントム
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