暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第190話:繋がる奇跡
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まさか奏がこんな手段に出るとは思っていなかったので、あおいも面食らい振り返る。その彼女の目に、驚くほど冷めた顔で訃堂の消えたモニターを見つめる奏の姿が映った。
 奏は暫く通信を切るスイッチを押し続けていたが、まるで気が済んだかのようにゆっくりとスイッチから指を放しつつ呟いた。

「……颯人だったらこうしたさ。あんなの、聞く必要無いね。アタシらはアタシらで響を助ける為に動く。そうだろ?」

 思いもよらぬ奏の行動に、弦十郎を始め誰もが唖然とする中、カリオストロは堪らず噴き出しながら手を叩いた。

「あっはははっ! やるじゃんッ! そう言うの、あーし好きよッ!」
「まぁ向こうは今頃顔真っ赤で震えているワケダろうが……」
「あれもまた支配を強いる者……それに真正面から抗うのも、また一興ね」

 上から目線で一方的に告げてくる訃堂に対し、真っ向から反抗する奏の姿勢をサンジェルマン達はそれなりに気に入ったらしい。弦十郎はそれに対し後々が怖いと思わなくも無かったが、奏の言う事も尤もだと考えこの場で咎めるような事はしなかった。

「友里、現場周辺の動きはどうなっている?」

 訃堂という男の性格を理解している弦十郎は、彼が既に動いていると考え状況の確認を急がせた。果たして彼の予想通り、響の周辺には既に多数の攻撃部隊が展開されている事を知る事になる。

「響ちゃん周辺に多数の攻撃部隊の展開を確認ッ! 攻撃準備を整えているようですッ!」
「この様子だと、精々猶予は2時間ってところかしら? どうする、弦十郎君?」
「どうするもこうするも無い。急いで響君を救出するッ! 国連が動く口実をこちらが先に取り除いてしまえば、反応兵器も撃たれない訳だからなッ!」

「「「応ッ!」」」

 こうして響救出の為の作戦が開始される事となった。

 サンジェルマン達錬金術師は依然広域索敵により颯人を捜索し、奏達装者とガルド・透の魔法使い2人は響救出作戦の為現場へと向かう。

 そこでは既に訃堂により展開された攻撃部隊による攻撃が開始されていた。最新型と思しき戦車による砲撃が、響を取り込んだ蛹状の物体に次々と命中する。

『彼らは知らされていないのか? あの中に人が取り込まれてるんだぞッ!』

 通信で朔也が焦る声が聞こえる。それに対して奏は否と考える。訃堂の息の掛った連中の事だ。恐らく中に人が居ると聞かされても、彼らは攻撃を躊躇しなかったであろう。
 だがそれ以上に危惧すべきは、あの砲撃が逆にある種の引き金になってしまわないかと言う事だった。見れば砲撃を受けて蛹の外殻に罅が入っている。あれが壊されて中から響が出てくるのであればいいが、逆に砲撃が覚醒を早める危険性もあった。

 奏達が急行する中、状況は後者に傾いた。罅割れた部分から
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