第七百三十六話 広い部屋その十一
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「そうしてな」
「難を逃れますね」
「いざという時はどうするか」
「逃げるしかない時は」
「そうした時はな」
「そうしますね」
「逃げることも必要だ」
こう言うのだった。
「我々はな」
「工作員は」
「隠れてだ」
そうしてというのだ。
「素性を出さない様にしてだ」
「情報を集めるもので」
「勿論ばれても駄目だしだ」
それにというのだ。
「しかもな」
「さらにですね」
「反撃などするとだ」
「抵抗したとみなされて」
「如何に連合といえどだ」
工作員を殺さない国でもというのだ。
「攻撃してだ」
「殺してきますね」
「そうするからな」
だからだというのだ。
「反撃は駄目だ」
「そうですね」
上等兵もそれはと頷いた。
「やはり」
「だからな」
「そうした時はですね」
「マウリアを頼ってだ」
同盟国であるこの国をというのだ。
「そしてだ」
「大使館や領事館に入り」
「難を逃れるのだ」
「それが工作員のやることですね」
「隠れて逃げてな」
そうしてというのだ。
「捕まらないことだ」
「工作員は」
「既に領事館の場所も把握している」
「この播磨星系の」
「それならだ」
是非にというのだった。
「いざという時はな」
「我々はですね」
「逃げ込むぞ、いいな」
「はい」
上等兵は確かな声で頷いて応えた、そうして今は飲んで食べて過ごした。二人は連合に潜伏し働き続けるのだった。
広い部屋 完
2023・10・16
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