第百十五話 運動会の準備その十五
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「反面教師にするからね」
「いいのね」
「出会いたくないけれど」
「出会ったらそれ自体が不幸だし」
「そうだけれどね」
それでもというのだ。
「勉強にはなるよ」
「反面教師にするから」
「暴力振るわなくなるから」
「いいわね」
「うん、しかし自分より弱い人に暴力振るう人って」
伊東はそうした輩自体の話をした。
「自分より強い相手にはへいこらするよね」
「弱い相手にはやりたい放題でね」
「強い相手にはね」
「諂うわね」
「それって卑怯だね」
実に嫌そうに言った。
「自分より弱いから殴ったり蹴ったりするって」
「罵ったりね」
「桑田さんも言ってたけれどね」
桑田真澄のことである、高校時代から天才ピッチャーとして知られプロ野球でも頭脳的なピッチングで知られた。
「暴力は自分が絶対に何もされないから振るうものでね」
「生徒さんとか後輩の人とか」
「やっぱり卑怯だってね」
「桑田さんも言ってたわね」
留奈も桑田のこの言葉は知っていた。
「そうだったわね」
「うん、桑田さんは正しいよ」
「あの人頭いいからね」
「常識があって理知的だからね」
「そうした人だからね」
若い頃はマスコミのバッシングを受けたがそのほぼ全てが事実無根のことであったのだ、そして桑田はそのバッシングに耐え抜いたのだ。
「わかってるよ」
「野球のことも色々勉強してるし」
「その人の言うことだし」
「暴力を振るう人なんてね」
「卑怯よね」
「そんな卑怯な人いならない為にも」
是非二と言うのだった。
「僕達は暴力を振るわない」
「そうでないと駄目ね」
「そしてそんな暴力を振るう人が傍にいなかったら」
それならとだ、留奈に話した。
「それだけでね」
「幸せよね」
「本当にね」
帰りの電車の中でこうしたことを話した、そのうえで二人一緒に自分達のそれぞれの家がある団地に帰るのだった。
第百十五話 完
2023・12・23
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