第三話 お見合いその六
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「お見合いだからといって」
「砕けていこう」
「それに知った間柄だし」
「お互いな」
「いや、そういう訳にはいかないだろ」
夜空達の父が部屋に入ったところで反論した。
「こうしたことは」
「そういうが親戚同士でな」
袴の男は正座している、そのうえで彼に言った。
「僕と秀樹ちゃんは小さい頃から知ってるじゃないか」
「兄ちゃんのことはね、しかしね」
「本家と分家だからか」
「兄ちゃんはそう言っても」
それでよくとも、というのだ。
「やっぱり色々とあってね」
「畏まってか」
「やらないとね。そう言う兄ちゃん達も正装じゃないか」
羽織袴に着物の二人を見て話した。
「だったらね」
「うちの人の言う通りですよ」
母も言ってきた。
「やっぱり今日は」
「朝華さんもそう言うかい」
「はい、ではこれから座らせてもらうので」
「そうか、じゃあな」
「今からですね」
「はじめよう」
こう話してだった。
見合いがはじまった、まずは西宮家の方が名乗ってだった。
「猿飛佐吉だ」
「猿飛神世よ。知ってるけれどね」
「こうした時は名乗らないとな」
「そう言うと私達も畏まってるわね」
「だから畏まる場所だろ」
父がまた言った。
「兄ちゃんのそのざっくばらんは誰似なんだ」
「決まっているだろう、初代の方だ」
「佐介様かい?」
「あの人は十勇士の中でそうだな」
「そういえばそんな人だったな」
父は自分が読んだり観てきた創作の中に出て来る彼を思い出して話した。
「あの人は」
「だから僕もな」
「飾らないんだな」
「そうだ、それでもな」
「今畏まったな」
「僕もまだまだだな」
「まだまだでいいよ、それで佐京君だね」
少年を見て言った。
「大きくなったね」
「有り難うございます」
少年は一言で答えた。
「この通りです」
「そうだね、それで佐京君と」
「そちらの夜空ちゃんがこの度な」
「婚約するんだな」
「今回のお見合いからな」
その少年佐京の父は夜空の父に話した。
「お互い気に入ったらな」
「絶対にじゃないのか」
「いやいや、お互いよくないとな」
こう夜空の父に言うのだった。
「結婚しても仲が悪いだろ」
「それはな」
「だからな」
こうしたことが考えられるからだというのだ。
「お互いな」
「お見合いをしてか」
「気に入ったらな」
そうであるならというのだ。
「それでだよ」
「許嫁になってか」
「結婚もだ」
将来のそれもというのだ。
「すればいい」
「そうなんだな」
「聞いてたことと違わない?」
真昼は父親達の話を聞いて言った。
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