第三話 お見合いその三
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「運転の時もな」
「白手袋なのね」
「それを着けてな」
そうしてというのだ。
「行くぞ」
「凄いわね」
「いや、白手袋は結構あるわよ」
母が言って来た。
「自衛隊でもね」
「白手袋なのね」
「そうよ、何かあったらね」
「式典とか」
「自衛隊はそういうの多いから」
兎角何かとそうしたことがある、それに出席することもまた自衛官の仕事の一つであるのだ。
「制服はアイロンかけて埃取って」
「奇麗にして」
「靴も磨いてね」
そうもしてというのだ。
「それでよ」
「白手袋を着けるのね」
「そうしてるのよ」
「そういえば」
ここで夜空は考える顔になって言った。
「うちの学園夏休みの合宿江田島だけれど」
「海上自衛隊の学校あるでしょ」
「幹部候補生学校ね」
かつては海軍兵学校であった場所である。
「あそこも何かと式典あって」
「それで白手袋着けるし」
母はさらに話した。
「白い詰襟もよ」
「あの海軍の」
「それを着るのよ」
「物凄く恰好いいわね」
「そうでしょ、それで白手袋はね」
「特別じゃないのね」
「結構あるのよ」
そうしたものだというのだ。
「実はね」
「そうなのね」
「だからね」
それでというのだ。
「気にしないでね」
「特に」
「そう、それじゃあ今からね」
「ご本家に行って」
「あんたのお見合いするわよ」
「わかったわ」
「それじゃあ今からね」
夜空だけでなく真昼もだった。
一緒に家の車に乗って大阪から神戸に向かった、そして本家に着くとそこは結構な大きさの屋敷であった。神戸の山の方にあった。
その屋敷、見事な門のそれを観て夜空は言った。
「子供の頃に来たかしら」
「そうね」
真昼も言った。
「確か」
「だからほとんど覚えていないけれど」
「はじめて見た時も大きいと思ったけれど」
「今もね」
「そうよね」
「大きな門ね」
「塀も高くて」
その上には瓦がある。
「その向こうにね」
「大きな木見えるわね」
「お屋敷も」
「凄いわね」
「まさに豪邸ね」
「この辺りは昔土地が安くてな」
父が応えた。
「ご本家は結構大事なお仕事してるんだ」
「八条グループの中で?」
「ああ、忍者だからな」
それでとだ、真昼に答えた。
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