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金木犀の許嫁
第三話 お見合いその二

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「そうも考えてよ」
「着せてくれたのね」
「それも二人共」
「そうよ、ただ絹でね」
 その生地はというのだ。
「仕立てもいいから」
「粗末には出来ないわよね」
「絶対に」
「絹だけでも凄いのに」
「仕立てもってね」
「そうなるとね」
 姉妹もそれぞれ言った。
「高いわよね」
「かなり」
「だから注意してね」
 本気での言葉だった。
「動きもね」
「お嬢さんみたいに」
「そうして動かないと駄目ね」
「そこまでは言わないけれど」
「破れたりとかしない様に」
「気を付けることね」
 姉妹でまた話した。
「いい服だけれど」
「奇麗だけれど」
「そうよ、礼装だからね」
 そうした服だからだというのだ。
「くれぐれもね」
「大事にしないと駄目ね」
「振袖は」
「タキシードとかドレスと一緒だから」
 振袖はというのだ。
「着物でそうした服はね」
「お父さんとお母さんはスーツだがな」
 父も言ってきた、見れば両親はそうした服だが少し違っていた。
「やっぱりな」
「礼装だから」
「いつもと違う感じね」
「そうだ、もうな」
「お父さんもお母さんも礼装で」
「いつものスーツと違うのね」
「これは礼装用のスーツなんだ」
 今二人が着ているそれはというのだ。
「ネクタイだってな」
「ちゃんとしたものね」
「礼装用の」
「白のな」 
 見ればホワイトタイである。
「それなんだ」
「お母さんもね」 
 母もスーツ姿だが普段とは違う、膝までのスカートだが生地も仕立ても普段とは違う感じのものである。
「この通りよ」
「礼装で」
「それで行くのね」
「そうよ、今から行くわよ」
「車で行くからな」 
 父は自動車でと言った。
「いいな」
「お父さんが運転するのよね」
「そうよね」
「ああ、しかしな」 
 それでもと言うのだった。
「運転する時もな」
「違うの」
「普段とは」
「白手袋をしてな」 
 そのうえでというのだ。
「運転するぞ」
「白手袋って」
 夜空はこのことにも言及した。
「そこまでするの」
「そうだぞ、今回はな」
「特別な日だから」
「お前にとってな」
 それでというのだ。
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