八十 第二ラウンド
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対話もせずにペインを問答無用に敵と見做していたに違いない。
「だが、お前達のやり方も正しいとは言えんだろう」
対話する姿勢を見せる五代目火影に、少しばかりペインも態度を改めた。
「…争いの火種はあちこちに燻ぶっている。それら戦争をコントロールするのが我々だ。今、九尾を庇ったところで無意味。直に始まる争いを止めることなど不可能だ」
そこで言葉を切って、ペインは周囲を見渡した。
洗濯物を干している最中だったのだろう。
買い物帰りだったのだろう。
子ども達が遊んでいたのだろう。
ビリビリに裂けた洗濯物が踏み躙られ、鞄の中から飛び出した野菜が踏み潰され、遊び道具の人形が踏み荒らされている。
「お前達は…この世界の主役だと思い上がり、死を遠ざけて考える。平和ボケして浅はかだ」
視線をべつのほうへ向ければ、チャクラ切れと力切れで倒れ伏せた木ノ葉の忍び達。
そうだ。この光景こそが自分達が今まで見てきた景色。
「人を殺せば人に殺される…憎しみがこの二つを繋ぎ合わせる」
「戯言を…それに、なにか勘違いをしているようだな」
綱手の意味ありげな言葉に、ペインは聊か怒りを抑える。
無言で話の続きを促すペイン天道に、綱手はハッキリと言い放った。
「お前達が欲しがっているものは手に入らんぞ」
「……木ノ葉の忍びが波風ナルを庇いきれるとでも?この惨状を見て猶、そう言えるのか?それなら貴様は火影失格だな」
あちこちで白煙が立ち上る、もはや見る影もない木ノ葉の里を火影邸から見下ろしながら、ペイン天道は呆れたように頭を振った。
そして最後に慈悲を与える。
神らしく。
「我々に協力すれば助けてやるのも吝かではない…波風ナルをおとなしく差し出せば、の話だが」
九尾の人柱力を犠牲にして、自分達の命を助けてもらう。
ひとりを生贄にすれば、殺さない。
ナルの死と引き換えに命乞いをしろ、そう言っているのも同然の言葉に、綱手は眼を伏せた。
「その節穴の眼で何が見える?もはや絶望しかあるまい」
自分の交換条件を思案しているのか、と考えたペインは畳み掛けるように冷然と告げる。
だが直後、顔を上げた五代目火影は何一つ諦観していなかった。
笑みさえ浮かべていた。
その強い眼差しは普通の忍びならば怯み、臆しているだろう。だが此処にいるのは普通の忍びではない。
なんせ秩序の神だと名乗るくらいなのだから。
「あいにく節穴のこの眼には希望しか見えていないね…火影の名にかけて忠告してやる」
挑発するように笑うその微笑みは希望に満ち溢れている。
年齢に反して若々しいその凛々しい貌には、波風ナルに対しての絶対的な信頼感があった
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