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渦巻く滄海 紅き空 【下】
八十 第二ラウンド
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は何処だ?」
「さぁね」

視線を一切逸らさず、嘯く五代目火影の返事をある程度予想していたペインは、双眸を閉ざした。

「この状況…火影のおまえなら一目瞭然で理解するはずだろう」


木ノ葉の里を一望するように、ペインはわざと頭をゆっくりとめぐらせる。
あれだけ平穏だった里のあちこちで爆発音や白煙が立ち上る様を背景に、綱手はギリ、と唇を噛み締めた。


「圧倒的な力の前では全てが無意味。お前達大国が証明してきたことだ」
「…大国とて痛みを受けてきた。我々の先代が求め、維持しようと努めてきた平和を崩そうとしてきているのはお前達テロリストのほうだろう」


五代目火影のその発言は、ペイン天道の癪に障った。空気が変わる。
ピリ、と張り詰めた緊張と警戒が高まり、暗部達は一様に息を呑んだ。


「──驕るな」



凄まじいチャクラに、寒気がする。
(これが輪廻眼の力か…イヤな感じがする)と火影を護衛する暗部達が慄く中、綱手だけは動じずにペインを真正面から見据え続けた。
今のモノよりもずっと、遙かに凄まじい威圧感を以前、綱手は経験している。



「お前達の平和が我々への暴力なのだ」

“平和を謳歌していた里人は自分たちの置かれた立場がいくつもの争いの上に成り立って勝ち得た平穏だと自覚すべきだ”


淡々と告げるペインと似たような言葉をどこかで聞いたような気がする。
既視感を覚えて、綱手は記憶を辿るようにして双眸を細めた。


耳に、誰かの声がこだまする。
ペイン六道が木ノ葉の里を襲撃する前に、自来也の死に沈む綱手の前に現れたフードを被った謎の人物。
今し方、ペインから受けた圧迫感よりずっと、遙かに凄まじい威圧感を覚えた存在。



“木ノ葉にとっての正義は、他の里の悪になる。誰かの悪は誰かの正義だ──…木ノ葉が正しく、他が間違っているとでも思っているのか?平和で平穏なこの里が正義だと?その平和に至るまで、他の誰かの正義を踏み躙ってなどいないと本気で言えるのか?”


『暁』の襲撃を前以て予告しにきた、敵か味方かわからぬ存在。


“人の正義は信念は理想は、全て同一ではない。各々がそれぞれに心に抱き、思い描き、行動するモノだ。故に平和とは、積み重なった誰かの正義の犠牲の上で成り立っているに過ぎない”


元々の『暁』の信念が“対話により争いをなくす”という平和を目指す慈善団体だった真実を伝えてきた得体の知れない人物の言葉はあの時から確かに、綱手の耳に残っていた。

だから──。




「…木ノ葉隠れがやってきたことが全て正しいとは言えない」

里長らしからぬ返答に、ぎょっとする暗部達の前で、綱手は静かに口を開く。
謎のフードの忠告がなければ
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