第百十五話 運動会の準備その四
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「いい感じね、それなら試合もね」
「練習試合のですね」
「期待出来るわね」
「そうですか」
「ええ、ただ負けてもね」
先輩は留奈にこうも言った。
「悔いのない、そしてスポーツマンシップを守る」
「そうして試合することですね」
「そうよ、うちの学校負けても殴ったりしないでしょ」
「誰もしないですね」
「蹴ったりビンタしたりね」
「負けたらする先生もいますね」
「ベトナムでもいないと思うわよ」
先輩は自分の祖国の話もした。
「練習試合で負けたから殴るとか」
「最低な先生ですよね」
「動きが悪いから蹴ったりとか」
「論外ですね」
「それ先生じゃないから」
先輩は断言した。
「日本で言うとヤクザ屋さんでしょ」
「そんな人達ですね」
「日本ってヤクザ屋さんが先生やるのね」
「大学出て免許持ったら誰でもですから」
教師になれるというのだ。
「そこにコネがあって」
「変なのが入って」
「暴力振るいます」
「コネで入ってるからクビにもならないのね」
「そうなんですよね」
留奈は先輩に困った顔で話した、日本の学校でどう見ても人に教える器でない輩が教師に多いのはそれも理由の一つであるのだ。
「あと公立だと公務員ですから」
「余程でないとクビにならないのね」
「そうです」
「暴力は余程のことでしょ」
「そうなんですが」
少なくとも一般社会ではそうである。
「動きが悪い、負けたから殴ったりとか」
「普通クビよね」
「アルバイトでお仕事失敗して」
それでというのだ。
「バイトの娘殴ったり蹴ったりしたら」
「確実にクビよね」
「そうなりますけれど」
「学校の先生は違うのね」
「生徒を床の上で背負い投げしても」
これは下手をしなくても後遺症が危惧される怪我を負うことが懸念される極めて悪質な暴力である。
「お咎めなしです」
「床の上で柔道の技かけたら」
先輩はその床今自分達が立っているそこを見て言った。
「死ぬ可能性もあるわね」
「打ちどころが悪かったら」
「そんな暴力振るったらね」
「普通の会社とかお役所だと懲戒免職ですけどね」
「クビにならないのね」
「そうです」
「本当にヤクザ屋さんね、けれどね」
それでもというのだ。
「うちの学校はね」
「負けてもですね」
「動きが悪くてもね、それは実力で」
「もっと努力しろ、で終わりですね」
「そんな殴って蹴ってなんて」
試合に負けたり動きが悪いといってだ。
「本当にヤクザ屋さんだからね」
「うちの学校ではしないですね」
「だから安心してね」
留奈に笑顔で話した。
「試合に負けても、あくまでね」
「全力を尽くして」
「そしてね」
そのうえでというのだ。
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